https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1500.htm
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 0.05 | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 0.1 | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 0.2 | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 0.23 | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 0.33 | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 0.4 | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 0.45 | 4,796,000円 |
出典元:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
この図によると、 売却益から必要経費を抜いた金額が仮に1,000,000円だとすると、所得税は5万円になるようです。 調べてみたところ雑所得に対する必要経費の基準がとても厳しくその年度しか適用されないようです。
「その総収入金額を得るために直接要した費用の額」
「その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額」
このように直接的な仕入れ費用と販管費が対象になりますが、その年に生じたと書いてありますので、数年前に購入したウイスキーを売却するときに計上できるかは怪しいです。
法人で購入した場合は理論上損益の通算が可能になる
また、個人で売買する場合は損益の通算ができません。 例えば株式で大きな損失を出して利益を確定したとしても、ウイスキーの売却で儲かっていた場合はその分税金を支払わなければなりません。
合法的にウイスキーの売却の税金を安く抑えるのであれば、自身の会社や会社設立をして法人名義でウイスキーを購入すると言うことです。 ここでは税務の問題について話、酒税法については一旦置いておきますが、この法人名義にした場合は損益の通算が可能になるので、個人で売却した時と違い、理論上事業での赤字を相殺することが可能になるはずです。
個人でも法人でも反復して酒類を売却した場合は、一般酒類小売業免許や通信販売酒類小売業免許が必要になります。 これは売却時の税金と別の問題です。
オークションなどで個人に売り捌くのは問題ですが、酒類免許を持っている専門の買取業者に売却する場合は、免許がなくても問題ないはずです。
有価証券等であれば法律で細かく規定してありますが、法人でウイスキーを購入して売却したときの利益、つまり売却益に対しての課税と言うのは明確に表記されていないので、担当する税理士や管轄をしている税務署によって解釈が異なる可能性があります。
ウイスキーの価値の算出方法が定まっていない
有価証券であればその評価額の算出がしやすい傾向にあります。 例えば上場企業の株式であれば、算出する日の株式取引額を見れば具体的にいくらの価値があるのかというのすぐに判断することができます。
上場していない株式の金額も算出する方法などはありますが、ウイスキー等価値を算出するのが難しい場合、それによる譲渡や相続時の算出が異なると想定されます。
例えば山崎50年であれば、購入時は100万円なので、購入したときの価値は100万円と言うことになります。 これを数年後に友人に100万円で売却しても、それを当局が認めるかどうかが肝になります。
実際に海外のオークションハウスでは3000万円の売買事例があったとしても、国内で今すぐに3000万円で売れるとは限りません。 また高額になればなるほど相場にズレが生じるので、評価額の算定が難しいはずです。
一例では、山崎50年を自信の所有する法人に200万円で売却して、その分を正式に納税して、法人が数年後に5000万円で売却した場合は実質的な節税が可能になります。ただこのような高額取引になると、ほぼ確実に税務署からお尋ねがくると思います。「あなたが200万円で売却したのは不当で、課税逃れです」と追求されて、きっと追徴課税を請求されるはずです。
この問題と言うのは非常に難しく、例えば金額の桁を変更したとします。 白州と言う本を、200円でブックオフに売却したとします。 翌日ブックオフは5000円でその本を店頭に並べて、第三者に販売したとします。
この場合5000円の価値があったとされる本を、200円でブックオフに売却したのがおかしいとなるでしょうか?
これは慣例的に買取価格が安いとして、済まされてしまうはずです。上記の行為が、逋脱になるかは当局の解釈によって左右すると思います。
心配になるなら100%申告すればOK
「生活用動産の譲渡は非課税」という特例もありますが、本格的にウイスキー投資をしている人は本数や金額が大きくなるはずです。
こうなると、生活用動産の譲渡なので非課税として課税逃れするのは難しいはずです。反復継続として判断されて、下手したら課税だけでなく酒税法でも厳しい処分を受けてしまう可能性があります。
最も安全なのは、国内の大手買取業者に対して全て売却してしまうと言うことです。そして売却して得た利益の控えを税務署に提出して申告することです。 きっと全額課税対象にされると思いますが、最初に仕込んだ金額が低いのであれば、課税されたとしても十分な利益が出ると思います。
私自身、1本1万円で購入したウイスキーが、現在のYahoo!オークションでは100万円近い金額になっているものもあります。仮に30%の税金がかかったとしても十分に利益が出るように計算しています。
ウイスキー投資の利確(売却)
無申告というのが最も問題であり、なるべく節税したいのであればあらかじめ税理士に相談をして、申告方法や算出方法などを緻密に打ち合わせをして、節税できる方法を合法的に模索することをおすすめします。
話の途中にあったように、法人で購入した方が節税になる場合もあるので、 本格的に投資を進めるのであればあらかじめウイスキーの名義をどうするかも考えておいた方がいいです。
ちなみに私自身はスコットランドの蒸留所に、カスクの状態で保有しているので、10年後に瓶に詰める時は信じられないほど複雑な税務の問題が起こりそうです。 とは言え、所有権だけを売却してしまえば税金はシンプルになりそうなものですが……。