アメリカの月刊誌『Food & Wine』によると、今後10年間でアメリカ産ホワイトオークの供給が大幅に減少し始める可能性があるといいます。 さらに長期的には、バーボン樽がなくなることによりスコッチウイスキーにも影響を及ぼす可能性もあります。
ご存知の通りスコッチウイスキーは北米産のホワイトオークを使用しています。 シェリー樽もスパニッシュオークとアメリカンオークに分かれますが、バーボンだけでなく多くの樽材が米国に依存していることが分かります。 これだけではなく、ジャパニーズウイスキーも現時点では数多くの樽が米国の木材に依存しています。 サントリーなど市場ではミズナラなど国産の材料を使っていますが、加工が困難で製造するのも時間と費用がかかります。コスト軽減のために輸入の樽材に頼っている蒸留所も多くあります。
出典:https://www.foodandwine.com/news/american-white-oak-wine-whiskey-cask-sustainability
ウイスキー作りにもSDGsが必要に
バーボンをはじめとするアメリカンウイスキーの熟成に使われる樽は、何世代にもわたってアメリカンホワイトオークが使用されてきた。しかし、新しい報告書によると、環境保護をしなければ、今後10年間でアメリカ産ホワイトオークの供給が大幅に減少し始める可能性があるという。
ホワイトオーク・イニシアティブは、学術界、政府機関、民間企業からなる「官民一体の組織」であり、アメリカ産ホワイトオークの長期的なSDGs(持続可能性)を提唱するために設立されました。ケンタッキー州だけで86億ドルもあるバーボンの生産において、ホワイトオークは重要な役割を担っているため、当然ながら世界有数のスピリッツ・ワイン会社ブラウンフォーマン社、サゼラック、サントリーのビームといった大手蒸留酒メーカーが後援している。(ウイスキー以外にも、ワインやその他の蒸留酒、家具やフローリングなどにも使用される)。
森林の再生が追いつかない事態に
心配なのは、現在1億エーカー以上の森林に生えているにもかかわらず、アメリカのホワイトオークの木が需要に追いつくほど早く再生していないことだ。ケンタッキー大学の林学・天然資源学科長で、ホワイトオーク・イニシアティブの共同設立者であるジェフ・ストリンガー氏は、ケンタッキー州のビジネス誌『The Lane Report』に次のように語っている。「ホワイトオークは多くの野生生物にとって貴重で、経済利用や森林構成の大きな部分を占めています。「ホワイトオークは、私たちの森林で起こっていることの多くと、そこから得られる資源を支えているのです」。
同団体の最近の調査によると、全ホワイトオークの75%が成木に分類される。成木を育てるのは難しく、日当たりなど新しい木を育てるには理想的とはいえない。その結果、これらの土地の60パーセントにはホワイトオークの苗木がないことがわかりました。ホワイトオーク・イニシアティブによると、介入しなければ、これらの地域ではブナやカエデなどの他の樹種が繁茂し、別の木がさらに増加することになるという。
出典:https://www.foodandwine.com/news/american-white-oak-wine-whiskey-cask-sustainability