アイルランド発の革新的ウイスキー、存続の危機
https://www.irishtimes.com/business/2024/11/27/distillery-closes-as-it-fails-to-raise-fresh-funding/
アイルランド南東部のウォーターフォード蒸留所が、2024年11月27日に管財人の選任を発表しました。同蒸留所は、テロワール(風土)の概念をアイリッシュウイスキーに導入するなど、独自の取り組みで注目されてきましたが、経済的な困難により事業継続が危ぶまれています。
ウォーターフォード蒸留所は2015年に創業者マーク・レイニエ氏によって設立されました。大麦の栽培地や土壌、気候がウイスキーに与える影響を徹底的に追求し、農場ごとに個別の仕込みを行うという画期的な製造手法を採用。また、フレンチオークやバーボン樽など、多様な樽を用いた熟成にこだわることで、複雑で独特の味わいを生み出してきました。しかし、この挑戦的なアプローチを支える資金面では課題があり、累積損失や減収が続く中、メインバンクのHSBCによる管財人選任が決定されました。
今回の事態により、地元の契約農家やサプライヤーにも影響が広がる懸念があります。管財人には経営再建の専門家が任命され、事業の売却や資産整理が進められる見通しです。
日本市場への影響
日本市場では、株式会社都光が2024年8月よりウォーターフォード蒸留所の製品を正規代理店として取り扱いを開始したばかりでした。同社は、テロワールに基づくユニークな製品の特長を訴求しつつ販売を進めてきましたが、今回の発表は新規展開に暗い影を落としています。流通中の商品は引き続き販売されると見られるものの、今後の供給体制については不透明です。
ウォーターフォード蒸留所の今後の運命は、ブランド再建の道が開かれるのか、それとも市場から姿を消すのか、世界中のウイスキー愛好家から注目されています。