岐阜県高山市上三之町の舩坂酒造店が、同市高根町に県内初のウイスキー専門の蒸留所「飛騨高山蒸溜(りゅう)所」を開設する。旧高根小学校の廃校舎を活用し、飛騨高山産ジャパニーズウイスキーを製造する。ウイスキーを学べる体験施設も併設し、来年4月の設備本稼働と、蒸留開始を目指す。
高山市東部の高根地域は年間を通して平均気温が低く、ウイスキー製造に適した環境であることから選んだ。また、過疎に直面する地域の思いが詰まった廃校舎を活用することで大切な資産を残し、雇用促進による関係人口の増加にもつなげる狙いがある。
蒸留所は、現在の体育館に蒸留設備を設け、校舎でウイスキーを貯蔵管理する。蒸留機は、富山県の蒸留所が開発した高岡銅器の梵鐘(ぼんしょう)の製造技術から生まれた「ZEMON(ゼモン)」を導入する。
4月下旬に旧高根小学校の修繕に着手し、来年4月に設備本格稼働と蒸留を開始する。ウイスキーは完成するまで約3年かかるため、販売開始は26年4月以降を見込む。
出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/
岐阜県で200年の歴史を持つ「舩坂酒造店」が母体となり、『飛騨高山蒸溜所』が開設されます。小学校(旧高根小学校)の廃校を流用して、現在の体育館に蒸留設備を設け、校舎でウイスキーを貯蔵管理します。
来年、2023年に設備本格稼働と蒸留を開始し、2026年以降に発売予定です。
国産ウイスキーの乱立?
近年国産ウィスキーが乱立していますが、その理由の1つに日本酒や焼酎の需要低迷が挙げられます。 日本には数多くの蔵元が存在しますが、高齢化や若者の日本酒・焼酎離れから、年々需要が低迷しています。 一部の蔵元は、海外に輸出して今まで以上にシェアを獲得している場合もありますが、厳しいところが多いのが実情です。
実際に、スーパーやコンビニ行っても売れているのは大手の有名蔵元の日本酒や焼酎、それどころかRTD(Ready to Drink)のビール、発泡酒、ストロング系飲料やハイボール、サワーが中心に。 若い人たちがお酒を飲む時、レモンサワーのような大手企業の作ったカジュアルなサワーが主流になっています。
2つの問題点があり、国産ウイスキーのブームも未来永劫続くものではありません。サントリーやニッカの原酒の少ない今だからこそ、価格の高騰があるだけで、今後仕込んだ原酒が完成することには大手企業による圧倒的な供給量により価格の均衡が崩れます。
そんな中で、本当に味の良い地ウイスキーだけが残ることになります。 日本の人口や、お酒を飲む人たちが減っていく中で、新しく参入したビジネスのウイスキーで成功するのは非常に難しいことです。立ち上げる際に、スコットランドの蒸留所で数年働いていたなどノウハウがあればまだしも手探りで、品質の高いウイスキーを作るのは並大抵の事ではありません。
もう一つの問題点は、マネタイズまで10年以上かかるということです。
シーバスの元ディレクターが設立した、「アラン蒸留所」でさえ開始して十年以上も品質が安定せずにネガティブな印象があり、30年近く改良を続けてやっと人気が出てきました。
ほんの5年前までは二束三文で投げ売りして、限定品ばかり売り続けていたのです。
製造に関して専門的な知識があり、蒸留所に人脈がある人でさえ、これだけ苦労しています。日本で品質の高いウイスキーを作るのは30年以上の長いスパンで考えないと、あっという間に破産してしまいます。
そもそも、3年熟成のウイスキーでは焼酎に木の風味がついた程度の品質で、たとえボウモアやカリラといった老舗の蒸留所でさえ味わいは厳しいものです。リリースする最低の熟成期間が8~10年になっているのが、それ以下では発売できないことの裏返しでもあります。
日本のウイスキー蒸留所では、樽のサイズや気候によって熟成早まるといわれていますが、急いで熟成したものが美味しくなっているかは怪しいものがあります。