ロシアとウクライナとの戦争が起こり、現状では直接的にEUや米国への物理的攻撃がなされていないにも関わらず、経済は大ダメージ、東日本大震災級の下げ幅となっています。
日経平均株価も年始からマイナス4,287.28円 (-14.63%)と年始最安値を更新。このような事態では「有事のドル買い」となるのが通説ですが、S&P500は年初来からマイナス595.47USD (-12.41%)、ダウ平均株価もマイナス3,767.68USD (-10.30%)となっています。
その中でも伸びたのが原油と穀物の先物と、金地金といった現物。金相場は年始の6,276円から大幅に伸びて8,184円、年始から130%以上も伸びています。昔から「有事の金」という格言がありますが、これだけハイテク化が進んだ現代でも同じことが証明されてしまいました。
意外なのがBTC(ビットコイン)の下落です。今日現在では1BTC=4,478,065.65円、
年初来から100万円以上、18.50%もの下落になっています。 仮想通貨に関しては、様々な要因があるので断定はできませんが、戦争が起こったからといって直ちに値上がりに直結するわけではなさそうです。
現金預金が100%安全というのは過去の話
日本国内でも物価の上昇で、食品から不動産まで信じられないほど値上がりが続いています。ところが賃金は上がるどころか、下がっている業種も多く平均年収は右肩下がりです。
2000年頃までは、現金(日本円)が最も安全とされていましたが、経済成長の低迷が長期化して生産人口だけでなく実質・名目GDPも下がり続けています。
私は経済学者でないので、今後の日本円がどのようになるか分かりません。実例をあげると戦争を起こしてしまったロシアのルーブルは以下のようなチャートになっています。本来は国際通貨基金の基軸通貨であるUSDで見せるのが正しいですが、理解しやすいように円のレートを引用してみました。
現在は1ルーブル0.89円ですが、分かりやすく例えるとロシアに住んでいる人が、去年まで1500万円相当の貯金があったとします。ところが現在は890万円相当の価値しかないということです。
ロシア国内では銀行で取り付け騒ぎが起こり、預金を下ろせない人が続出しています。 こうなってしまえば、通帳に記載されている数字でしかありません。ロシア国内では外国為替取引が規制されているため、ドルなどへの換金が難しい状態になっています。慌てた人たちが換金用にiPhoneを大量に購入する人も出ているようで、それほどロシア国民は危機感を持っているようです。
かの有名なジンバブエドルや、じり貧続きのトルコならまだしも、ルーブルは本来「それなりの価値を持つ銀塊」という意味のロシア語です。中世ロシアでは銀塊が高額通貨代わりに用いられていたほどです。ロシアは金の産出で世界第三位、他にも天然ガスなど豊富な資源を持っているにも関わらずこれほど影響しています。日本がロシアを対岸の火事と思うには危険すぎます。
円の価値が下がり続ける
円とドルのチャートで見ると、「なんだ日本円ってたいして価値が下がっていないんだ」と安心してしまうかもしれません。実際は日本はコスト・プッシュ・インフレにたいして賃金が上がらないスタグフレーションに陥っており、アメリカは以下の画像を見て分かる通り、賃金が10年前の5000ドルから6200ドルまで上昇しています。しかもこれは「平均値」ではありません「中央値」です。
2022年の日本人男性の年収の中央値は、20代で250~290万円、30代で330~366万円です。これでドル円レートが一定だからといって安心できないのが分かるはずです。
今の日本に住むには年収が上がり続けないと、貯金をしても追いつかないということになります。昭和の高度成長期には、ゆうちょの金利が一時期10%を超える高金利になりました。
これは、100円のおにぎりが翌年110円になっても、貯金の100万円が110万円になるので、実質資産が減らないということになります。
今の日本は、おにぎりが110円から150円になっているのに、利息が低すぎて貯金は100万円から、100万20円しか増えていないのです。
ウイスキー投資は有事にも強い
現在のロシア政府は正常な判断能力が失われた状態です。米国への当てつけや経済制裁を下した日本を逆恨みして、もし万一日本の領土にミサイルが着弾すれば確実に日本円の価値はルーブルのように消失します。
今でさえボロボロの国内株式の価値はさらに加速して下がり、安全資産のはずの債券さえも下がる可能性があります。本来、株式と債券は反比例するはずですが、戦争にまきこまれるとどちらも無価値になる可能性もあります。
そうなったときに金のような現物が強いです。有事のさいに銀行に預けた1000万円よりも1kgの金地金を自宅に置いた方が安全です。金地金やウイスキーを保管してある自宅を爆発されたら元も子もありませんが、焦げ付きや破綻のリスクもなく、戦争の影響を全く受けないというのがウイスキー投資です。