ウイスキー投資を初めて時間が経っているのですが、「失敗した!」と感じているのがブレンデッドウイスキーへの投資です。
価値が上がっているのは”99%シングルモルト”です。
2015年頃に今のシングルモルトの相場が値上がりしたのを見て、私はこのような仮説を立てました。
「シングルモルトの値上げに嫌気をさして、次はブレンデッドに違いない」と。
そして昭和末期の酒税法改正前の特級時代を中心に、1980~1990年代のブレンデッドウイスキーを買いあさりました。
ところが待てど暮らせど一向に上がる気配がなく、7年前に購入した時とほぼ同じ金額で取り引きされています。ロイヤルサルートやバランタイン30年など長期熟成の1950年代の原酒が使われているものでも値段が上がらないのです!
「ブレンデッドウイスキー」は飲むのにお勧め
原酒が1950年代のシングルモルトウイスキーを入手するとしたら、1本の予算は30~50万円は必要になります。下手したらもっと高額になることでしょう。
ところが1980年代に流通していた、「バランタイン30年(青赤旗 明治屋)」はたった5万円代で購入できるのです。中身の原酒は1950~1960年代で構成されています。
味わいの素晴らしい昭和のスコッチウイスキーが手頃な価格で飲めるのです。
「ブレンデッドウイスキー」が投資に向かない2つの理由
2022年の現時点ではブレンデッドウイスキーは投資に向いていません。まるでバリュー株とグロース株のように、価格が安いからといって飛びつくと損をしてしまいます。
理由の1つは、原酒がブレンドされていて熱心な信者を見いだせないためです。コーヒー豆でも、「エチオピア モカ イルガチェフェ(ティピカ)」だとか「ガテマラ フリオ・メレンデス(ゲイシャ)」など、一つの産地の一つの地域、その農園がカルト的な人気を誇っています。一例では丸山珈琲など優れた珈琲豆が狭い産地でコンクールを取り、通常の豆の何倍もの価格で流通しています。
ところが、「ブレンドコーヒー」になると急に価値が下がってしまい、良い産地をブレンドして高品質な安定した味わいでも価格は安くなります。これと同じなのです。
シングルモルトは、その土地の蒸留所で作られたもので、樽から出した1本をボトリングしているのに比べて、ブレンデッドは「ジョニーウォーカー」などの会社で大量の原酒をバランス良く混ぜて商品化します。
同じラインナップでも、構成比率が変更になり、何がどの程度使われているか見えないこともあります。
ブレンデッドウイスキーは生産数量が非常に多い
2つめの理由は、生産数量が非常に多いということです。ブレンデッドウイスキー会社は系列の蒸留所を何箇所も所有していて、その大量の原酒から自由にブレンドできます。
シングルモルトが高騰する理由の一つに、ウイスキーブームが来る前は自社の販売力が低く、お金にできないのでブレンド用に原酒供給していたため、シングルモルト貯蔵分が少ないというのもあります。
小さな蒸留所が90%以上をブレンド用に販売してしまった場合は、自社に残るのが10%になります。そんなときにブームが訪れれば、供給不足となり自ずと価格が上がってしまいます。
長期的にみるなら投資に向いている
2~3年で売却をしたいのであればブレンデッドウイスキーは向いていません。ただし、10~20年という非常に長いスパンで見た場合はブレンデッドウイスキーも値上がりする可能性があります。
1990年代以前のウイスキーの本数には限りがあり、今でこそ大量に流通していますが必ず減ってくるタイミングがあります。そのときに市場が評価をした場合は値上がりします。例えばバランタインには、スキャパ、プルトニー、バルブレア、グレンカダム、グレンバーギ、ミルトンダフ、アードベッグといった蒸留所の原酒が含まれています。
シングルモルトの価値が上がることで、とても緩やかですがバランタインの価値も上がることになります。このあたりの見極めが大切ですね。