久々にワイン相場について解説してみます。
ワインの中でもボルドーというのは複雑で、資金繰りのために醸造したばかりのワインを出資者にテイスティングされて、2年後に納品する契約で売却します。これをプリムールといいますが、2年後の市場の評価が見えない状態で、原酒をテイスティングするので審美眼と高い相場観を求められます。
ボルドーワインの飲み頃は格付けや作柄、地域によって異なりますが、ポイヤックのメドック格付け一級の場合は30年以上の長期熟成に耐え、シャトー・ラ・トゥールなんかは50年以上経っても力強く味わいが残っているものまで存在します。
ラ・トゥールはプリムールを嫌い、近年はシャトーで熟成させた飲める状態にして出荷しているそうです。30~50年で飲み頃を迎えるワインは、タンニンが強く骨格があり早のみには向いていないためです。
上記のことからボルドーワインには、定価が存在しません。
例えばウイスキーのマッカランであれば、「マッカラン10年」はイギリスでは40ポンド、アメリカでは50ドル、日本では7,000円といったように希望小売価格が設定されることがあります。
この価格を基準に販売して、ショップが独自に値引きすることがあります。
ボルドーワインの場合は、
・プリムールではで1本60,000円(大抵は12本単位)
・瓶詰め後、出荷時には100,000円
・飲み頃のバックビンテージを出すときは、160,000円
といった具合に、定価が刻々と変化していきます。
もちろん、プリムールが必ず安いわけでなく、流通価格がプリムールより下がるケースもあります。
今回取り上げる、「シャトー・ムートン・ロートシルト2000年」はリリース当時、2~3万円代で購入できたそうです。
チャートを見ると2012年には6~7万円代、順調に上がり20万円で頭打ち、2020年頃に反落して微減。
15万円程度が下支えになり、去年末から再上昇。2018年の高値を抜けて、高値更新チャレンジをしています。
私の持ってるポンコツ日本株と違って、驚くほど順調に伸びています。ミレニアムビンテージ(世紀のビンテージ)生産数量が限られているため、まだまだ上昇を続けます。半分以上はレストランで消費されてしまっているのではないでしょうか?
2022年現在でも20万円超えですので、2030年・2040年となれば指数関数的に現存数が低下して、1本50~100万円になると思います。当たり前ですが、2000年のムートンは減る一方で、いつまで経っても1本も増産ができないのです。そして一部はシャトーが所有していますが、その大部分が既に出荷されています。
バックビンテージのラフィットが、TV番組で数百万円と紹介されているようですが、2000年の5大シャトーは下がる要素がほとんどなく投資に向いているといえそうです。
1945年以来、シャトー・ムートン・ロートシルトのラベルは、毎ヴィンテージ、一流芸術家の作品によって彩られてきた。彼らは通常、このドメーヌのために特別な作品を依頼される。しかし、例外的な2000年ヴィンテージでは、伝統とは異なり、ボトルそのものに装飾が施されることになった。
昨日ニューヨークで開催されたVinexpos Americasの展示会で発表された新しいボトルのデザインは、シャトーの「Museum of Wine in Art」に展示されているアイテムを再現したものです。これは、1590年頃、ドイツの金属工芸家ヤコブ・シェナウアーが制作した金銀の酒器です。ガラス職人のB.S.N.は、原作の表情を再現するために、浮き彫りのエナメル加工という新しい技法を開発した。
ムートンのシンボルである雄羊は、1924年ヴィンテージにポスター作家のジャン・カルーが制作した最初のアーティストラベル(アールデコ版)から、1999年ヴィンテージのポスター作家レイモン・サヴィニャックが制作した遊び心あふれるイメージまで、これまでのラベルに描かれている。
また、ボトルにはムートンの名前と紋章、ヴィンテージ、フィリピーヌ・ド・ロートシルト男爵夫人の署名が、すべてゴールドで記されています。本物の証として、各ボトルにはこの台座にシャトー・ムートン・ロートシルトの名前が刻まれます。
出典:https://www.winespectator.com/articles/mouton-rothschild-to-release-2000-vintage-in-special-bottle-21435