当たり前の話ですが、二次流通品のウイスキーの価格は、需要と在庫のバランスで成り立っています。いくら値上がりしたウイスキーでも、メーカーが増産してしまえば、あっという間に低下に近づいてしまいます。
例えば山崎18年、25年を年間100万本単位で発売すれば、プレミア価格は消え去り定価に近づくか、定価を割る可能性さえあります。山崎25年は以前まで年間生産本数がわずか1200本。
蒸留所やメーカーの関係者、国内の高級飲食店やバー、百貨店の外商顧客、海外輸出用などをあり、一般人に割り当てられる数量がどれだけ少ないか分かります。
なぜ、この話をしたかというと、マッカラン25年の長期チャートを見ていてあることに気がついたためです。
2012年から2015年までは、ぴったり75,000円。2018年までは上昇を続け、局所的に20万円を突破。そのあと2020年に向かって30%以上も下落をしています。
そして2021年〜2022年の狂乱相場。
これは品薄というだけでない状況です。なぜなら、英国最大級の蒸留所のマッカランが、いくら原酒が少ないといっても市場のボトルが全て数倍になるまでの供給量の少なさは考えにくいためです。スプリングバンクのように小さな蒸留所であれば理解できますが、マッカランは1990年には発酵槽をステンレスタンクにしたり、大麦の種類をアルコール転化しやすい品種に改良したりと、増産体制を整えてきました。
工場化に近づいてから、既に30年近くは経過していると考えられるためです。ウイスキー冬の時代はありましたが、それでも絞りすぎています。
近年のマッカランはプレミアムブランドを目指して、ラリックや高級車ブランドとタイアップを繰り返していますが、わざと供給量を絞っていると考えられます。
パテックフィリップやオーデマピゲ、といった現代的な高級時計メーカーも量産できるようなムーブメントのステンレス製でさえ生産本数を絞っています。これは生産量を絞ってブランド価値を保護する、または向上させる目的があります。ロレックスなんかは創業100年以上で、量産体制を整えるノウハウや環境がありますが、それでも増産しないのはブランドイメージを高める目的が大きいです。
こうなると原酒不足もありますが、マッカランやサントリーなどの超プレミアムレンジ、つまり現在20万円以上の長期熟成ボトルに関しては、2023〜2030年頃になっても以前のように流通量が増えない可能性があります。
個人的な推測でしかないのですが、マッカランはNASと12年、サントリーも山崎はNAS、10年、12年を今よりも少し増産をして、18年以上のボトルはプレミアムレンジとして流通量を絞るのではないでしょうか。
このあたりはメーカーの在庫をコントロールしている一部の人しか知り得ない話ですが、市場の価格から検討を付けると仮説が成り立ちそうです。
「店頭にモノがないけど、(思ったより)値段が上がらない」
2023年に想定される、金融緩和の出口戦略・QE(テーパリング)、このあたりが市場のウイスキーの価格にも露骨に反映すると思っています。ハイペースで物価が上昇したり、消費税増税の機運が上がってくると自ずと連動してくるのではないでしょうか。
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