
今年のウイスキー界隈は、話題が尽きないので面白いですね。
まさか、ブレンデッドウイスキーのハイランドクイーンが買い占められてネットショップから消えるとは思いもよりませんでした。
ハイランドクイーンとは、1893年までルーツを辿ることのできる歴史あるウイスキー製造会社です。公式サイトを見ても、The Highland Queen Scotch Whisky Companyと独立した会社であることが分かります。
ハイランド・クイーンの誕生は、1893年、ロデリック・マクドナルドが初めてビジネスを立ち上げることを決意した時である
20 世紀の大半を占めるマクドナルド&ミューア社の主力商品でした。ブランド名は、1893 年にマクドナルド&ミューア社がリース港と当初の生産拠点を結んだこと、そして 1561年にメアリー・スチュアートがこの場所に凱旋したことに由来しています。彼女は後にスコットランド女王として戴冠し、こうしてスコットランドで最も有名で愛されている伝説のひとつが生まれました。
https://www.highlandqueen.com/en/history.html
近年のブレンデッドウイスキーは、MHD(モエ ヘネシー ディアジオ)やペルノ・リカール、レミーコアントロージャパンのように大手グループ企業が中心になっているので、傘下に入らず単独運営しているのも珍しいです。

調べてみたとこと、同社のラインナップには主力ブレンドに「Scotch Whisky」「Sherry Finish」「8 Years Old」「12 Years Old」プレミアムレンジにシングルモルトの「Highland Queen 1561」「30 Years Old Limited Ed.」「50 Years Old」が置かれています。
何故か安いハイランドクイーンの長期熟成
シーバスリーガルやバランタインのように、年数表記なしの安いウイスキーから8年、12年そして21年、30年、50年超えのウイスキーがあることが分かります。「40 Years Old Majesty」「52 Years Old Majesty」という長期熟成ウイスキーも発売しているようです。

50年と52年の750ml 2本セットで1,995ユーロ(VAT 付加価値税込)なので、1,596ユーロ(約219,625)と考えると、「え?意外に安くない?」とさえ思えてしまいます。
500本限定で、1964年のハイランド・シングルモルトに、インバーゴードンとポートダンダス蒸留所の異なるグレーンウイスキーをブレンドしたものです。
買い占めされている『ハイランドクイーン 30年』とは?
ハイランドクイーンNASは、国内の小さな酒販店でも700円程度で販売されています。50年超えの超高級品でも1本10万円弱ということが分かりました。
なんとなくハイランドクイーンの傾向が分かったので、本題に入ります。SNSで買い占められたと話題の『ハイランドクイーン 30年』は、2017年10月03日ボトリング(バッチ番号17/0117)となります。生産数量の表記はありません。
生産者によると、この限定数量ブレンドは、1982年のモルトウイスキー75%と1978年と1979年のグレーンウイスキー25%で構成されています。そのブレンドをシェリーバットに再キャスティングし、6ヶ月間マリアージュさせてからボトリングしています。
2017.10.03ボトリング(バッチ番号17/0117)なので、実際には35YOで、グレーン成分は38YOと39YO。
個人のレビュー引用になりますが、「モルトウイスキー75%」と「1978年と1979年のグレーンウイスキー25%」で構成されていることが分かります。
2022年の今から考えると40年前の原酒が中核になっているようです。ボトリング時期から計算しても、実質35年以上の熟成です。ウイスキーは熟成年数が長いほど高値で売れるのに、なぜかサバ読み?しているようです。
タリバディンが主成分のようだ。オレンジ、桃の缶詰、タフィー、そして軽い「シェリーオーバーコート」の香りが特徴的で、奥にはバナナとナツメグの香りが隠れています。
国内有名ブロガーの方は、「グレンモーレンジ蒸留所が75%」と確定していますが、海外レビューでは「タリバーディン蒸留所」という感想も見受けられます。海外でもグレンモーレンジ説があるので、実際に上記の原酒が使われているのかもしれません。
いずれのウイスキーも30年超が飲んだことが無いので、予想になりますがグレンモーレンジの長期熟成のリリースが極端に少ないのと価格が高いため、この販売価格から推測するとタリバーディン、もしくは他の安価なハイランドウイスキーなのではないか?と思います。仮に1982年グレンモーレンジ樽が75%だとしたら、販売価格が5万円以上になってしまいそうです。
以前の『ハイランドクイーン30年マジェスティ』はグレンマレイという噂もあります。
いずれにしても、原酒を豊富に持つバランタイン30年でさえ実売価格3万円ですので、実質35年のモルトを中心としたブレンデッドウイスキーが1万円弱なのはコスパが非常に良いと思います。
もし、ハイランドクイーン30年を転売アイテムに選んで大量に買った人が居たとしたら中々面白い選択です。今後、この価格で長期熟成ウイスキーが安定リリースされるかは不確かですし、SNSで話題になればオークションなどで高値で捌くことができます。現に、私自身も「飲んでみたい!」とネットショップやヤフオクをチェックしてしまいました……。
『ハイランドクイーン 30年』の値段が上がる?
過去の統計を見たのですが、取引数が少なすぎて全く読めません。
2018年から全てのオークション取引が、たったの35件です。最低価格が7,750円、最高価格が21,400円です。

すごく不思議なのが、最高価格が2022/01/29と今年の1月末ということです。買い占め騒動も起きていないのに、15,800円程度での落札も目立ちます。
買い占めた人は、昨日今日で思いついたわけでなく今年に入ってから流通量が不安定なのを知っていて買い占めを実行したのかもしれません。

通常の買い占めは、先日のI.W.ハーパー12年のように突然値上がりをして、流通量が多いと収束していきます。ハイランドクイーン 30年はそもそもの市場の流通量が少ないため、このまま値上がりする可能性もあるのかもしれませんね。

WhiskyBaseを見ると、最安値が90ユーロ(約12,367円)平均価格が111.11ユーロ(15,268円)となっています。日本の価格が安いことが分かります。
注意すべきはオランダとイタリアしか在庫がなく英国本土ショップの登録がありません。流通量が豊富な場合は、英国大手酒販やドイツ、スイスなども在庫を持つので世界的にも減りつつあるのかもしれません。
現時点の情報では、「上がるのか?」「下がるのか?」しっかりとした予想は難しいのですが、一度飲んでみたいウイスキーであることには違いありません。
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