現在の日本ではあまり飲まれることの無い蒸留酒のひとつが「ブランデー」です。1990年代のバブル前後は接待の席など「ヘネシー水割り!」とウイスキーに並んで人気の蒸留酒でした。
カバー写真出典:https://www.hennessy.com/en-int/collection/richard-hennessy
ヘネシー、ブランデー、コニャックとは何か?
馴染みの無い方に簡単に説明すると、ヘネシーは会社名、会社がある場所がコニャック地方、つまりコニャック地方のブランデーということになります。
ブランデーというのは、度数の低い白ワインを作り、それを蒸留したものです。似たようなブランデーに、アルマニャックがありますが同じように地方の名前です。
少々ややこしいのが、「マール・ド・ブルゴーニュ」や「マール・ド・シャンパーニュ」といった絞りカスから作られるマールや、ワインの残留物で作られるフィーヌなどもあります。イタリアではグラッパも似たような蒸留酒です。
更にややこしいのが、最初に紹介したコニャック地方の中にも「シャンパーニュ」と命名されるブランデーがあります。
「グランド・シャンパーニュ」と聞いたら、シャンパーニュに使った葡萄カスで作られると錯覚しやすいですが、全く別の地域の「コニャック地方」の特級品だと覚えておくとよいです。戸越銀座のように、東京都中央区ではないのに「○○銀座」と名付けられる感じです。
ヘネシー・リシャールとは
なぜ、このヘネシー・リシャールを選んだかというと、落札相場で高値順でソートして一番上に来たからです。深い理由はありませんが、国内で最も高い値段で取引されているブランデーの一つなのは確かです。
フランス製バカラのクリスタルデキャンタに入った、この特別なコニャックは100種類以上の原酒をブレンドしているようです。
もともとウイスキーもブランデーも、複数の樽をブレンドすることで理想的な味わいを実現することが良いとされていましたが本数が大量にできることと、画一化された個性になりやすいので、近年はシングルモルトウイスキーの「シングルカスク」のように一つの樽から出したものの方が人気があります。
なぜ日本でブランデーが飲まれないのか?
ここまで雑談をしてしまったので、最後まで続けてしまいますが、日本でコニャックが飲まれない理由は「食中酒」として合わせるのが難しいからです。
フランスやイギリスでは、食後の4CといえばChocolate(チョコレート)、Cigar(葉巻)、Café(コーヒー)、Cognacと”コニャック”は絶対に外せないものでした。チョコレートではなくCheese(チーズ)とする説もありますが、いずれも食後のひとときをゆっくり過ごすための品々です。
日本の場合は、会席料理でも日本料理でも最後はフルーツか冷菓、茶で〆られます。食後に濃い味のものを食べて蒸留酒を飲み歓談する文化が無かったのです。
こうなると、ブランデーが日本で普及しないのも仕方ありません。その点ではサントリーが流行させた「ハイボールで乾杯!」は非常に的を得たもので、天ぷらでも寿司でも、ステーキでもパスタでも冷えた炭酸水で割ったウイスキーは飲みやすく安直に美味しいです。
そこから本格的にウイスキーにハマってしまう人もいるようです。現在の超高級ブランデーはもっぱら、星付きのフレンチレストランの食後酒またはホストでのボトルが中心となりそうです。
このボトルはホストでは、100~200万円程度で提供されているようです。オークションでは空き瓶も大量に流通していて、価格も強気ですので恐らく偽物のリシャールや、詰替えて提供している店も存在するのでしょう。
キャップシールも簡素な透明フィルムですので偽物が作りやすそうです。購入するときは信頼のできる正規店が良さそうです。
ヘネシー・リシャールの相場と今後は?
日本食糧新聞によると1996年6月4日に20万円で発売されたようです。当時はまだ消費税が3%の時代ですね。
過去2年のチャートを作成すると、20万円前後で売買されていたことが分かります。途中で新ボトル、旧ボトルと混在したので振れ幅が大きくなっています。
過去10年のチャートも作成してみましたが、2013~2018年まではゆっくりと上昇していました。コロナの後に少し下落していますが、2022年に突然高騰しています。
落札価格が40万円近い現行ボトルもあるので、今後は緩やかに上昇していくのではないでしょうか。
ただし、気をつけなければならないのが業務用として利用されることの多いボトルですのでオールドボトルよりも現行品のほうが高く売買されることです。ウイスキーは実際に愛飲する人口が多いので、新発売のボトルよりも、昔のボトルの方が高く売買されることが多いです。
このヘネシー・リシャールに関しては、本当はオールドボトルの方が美味しいかもしれませんが、市場では新しく業務に使えるものを求めるため旧ボトルの相場は上昇しにくいかもしれません。
ただしブランドネームの変更やラインナップの変更をしているわけでないので、長期的に見れば過去のボトルも上昇すると予想します。
中国や新しいアジアの市場でどれだけ必要とされるか分かりませんし、生産数量も未知数です。積極的に投資するのは推奨しませんが、持っているものを慌てて処分する必要もなさそうです。
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