先日の報道では、FRB議長が米国ではインフレ率の鈍化、つまりディスインフレーションに入ったと公表しています。実際には、米国内の中古車価格が反発して値上がりするなど、需要増加によりインフレが継続しているカテゴリもあるそうです。
各国の消費者物価指数とインフレ
2023年1月現在のCPI(消費者物価指数)をざっくりと振り返ってみます。CPIは、全国の世帯が購入する各種の財・サービスの価格の平均的な変動を測定するもので、物価を図るひとつの指標となります。
【イギリス】2022年1月 約112.1 2023年1月 約118.5
【アメリカ】2022年1月 約106.1 2023年1月 約112.6
【日本】2022年1月 約102.2 2023年1月 約102.9
※各国とも2020年=100とした場合の指数
米国、英国が2020年比で106~118%を達成していますが、日本はコロナショック以前からわずか2.9%しか上昇をしていません。商品や電気、ガソリン、灯油などエネルギー資源の価格は上昇を続けていますが、家庭の支出は少ないことになります。もうひとつ、各国の年収を比較してみます。
日本の平均年収の推移
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2020年:433万円
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2021年:445万円 (中央値は396万)
イギリスの平均年収の推移
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2020年:32,940ポンド (約532万円)
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2021年:34,100ポンド (約550万円)
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2022年(予測値):35,300ポンド (約570万円)
アメリカの労働者の平均年収5万8260ドル(約700万円)と比べると、低いですがそれでも日本より早いペースで年収が上昇を続けていることが分かります。こうなると日本国内ではスタグフレーションが継続し、給料が上がらないのに物価だけ上昇していると判断できそうです。
複合的な要因で価格の上下
2023年3〜4月から輸入ウイスキー・ワインの値段改定を公表しているメーカーが多いですが、輸出国の価格上昇に合わせて何度も改定される可能性が高いです。現在のウイスキー投資相場の難しいところは、「プレミアム価格の下落」と「インフレによる商品価格の上昇」が複雑に混ざっているところにあります。
例えばビールは順当に価格の上昇が続いていますが、プレミアム価格で高騰していた山崎18年はいまだに昨年の半額近い価格を推移しています。需給を慎重に判断しないと、「下落トレンドの利確」に巻き込まれていまいます。
市場価格が下がったからと慌てて買い焦らないようにご注意ください。
2月3日公開のSpirits Invest Indexes Analysis (January 2023)をお伝えするのを忘れていたので、内容をざっくり翻訳してお伝えします。
日本で売られていたラムが4万円→88万円?
記事ではカロニー [1996] 22年 for 15th Anniversary of Bar Lamp & SHINANOYAが6,150ユーロ=約88万円になったと伝えています。
信濃屋ということで検索してみると、なんと定価は4万円弱です。日本人が知らない間にこのボトルが20倍になったようです。
PDFのレポートが信じられないので、こちらでも価格を調べてみたのですがRumX.comというサイトでは、平均価格が6653 EURと表示されています。
にわかに信じがたいのですが、ウイスキーブームの影でラム投資で遊んでいる富裕層が存在するのかもしれません。ちなみに、武川蒸留酒販売ではカロニのラムは(プレミアム価格なものの)販売されています。少し高いですが、まだ手の届く価格帯です。
ラムだけでなくバーボンウイスキーも上昇
ジョージ・T・スタッグのバーボンも同じように最高価格を更新したようです。日本で投資目的で買っている人は少ないですが、輸出代行のアカウントなどで高額バーボンも落札が続いています。
一攫千金を狙うのであれば、リスクととってこのようなアメリカ輸出向けの高額バーボンに手を出すのもひとつかもしれません。もちろんリスクは高いです。
やはり、こちらのレポートでも同じように国産ウイスキーの下落は目立っているようです。売却を急がせたり、暴落が続くといった悲観的な読み方はしていませんが、下落トレンドが継続していることが分かります。
それに比べて、「より高価なマッカランウイスキーが回復を牽引」とマッカランが昨年の大幅な下落から回復に転じたようだとレポートしています。
基本的に当サイトでは、日本国内のチャートしか分析していませんが、先日公開した【チャート相場分析】マッカラン オスクーロ(2023年2月15日時点)のようにマッカランの復活は間違った読みではなさそうです。
spiritsinvest.comは英語でのレポートですが、より詳細情報が掲載されているので気になる方は原文をチェックしてみてください。
2023年2月時点での分析は…?
・国産ウイスキーの下落トレンドは継続
・スコッチウイスキーは物価連動で値上がり
・バーボンウイスキーは一部のレアボトルが高騰
・カロニなどラムが高騰&人気の兆し
ざっくりまとめると上記のようになります。
今のところ出口戦略が難しく、かなり見切り発車となります。それでも長期熟成ラムを買い集めるのは、5〜10年で見れば今が底値なのかもしれませんね。
免責事項
当サイトの内容は個人的な推測に基づくもので、内容の完全性や、その正確性を保証するものではありません。ウイスキー投資は法律上の制約や損失が発生する場合があります。必ず自己責任おいて入手・売却等をお願いします。利益が出た場合は、確定申告など税務上の申告が必要になる場合もあります、税理士や税務署職員に相談ください。大量の酒類を個人売買する際には、酒税法上の免許や認可が必要になります。