どんなモノにも共通しますが、どれだけ丁寧に作ったものでも、”ブームが起こるかどうか”が人気と価値を左右します。
いまや200万円以上の価格で売買される「山崎25年」は、1999年にサントリーの創業100周年を記念して発売しました。当初は不人気かつ高すぎて過剰在庫で余っていました。オークションでは定価の10万円を切って、8万円程度で落札されることがあったほどです。
それがブームが巻き起こったことで20倍以上もの価格に跳ね上がってしまったのです。
国産ワインのブームはいつ来る?
今のところ、一部のドメーヌや生産者が人気を出しているだけで、国産ウイスキーと比べると不人気といえます。
何しろ、あれほど有名な白州蒸留所と目と鼻の先で作られている、甲州のワインは定価から割引されて販売されているほどです。 私はワインもウイスキーも飲みますが、国産ウイスキーは昔の砂糖を添加していた時代と異なり、品質が劇的に向上しています。
「甘いだけで美味しくない」、「氷で割らないと飲めない」といった時代は脱却し、すでにフランスと比較しても劣らないほどおいしいワインも存在します。 例えば個人的には、中央葡萄酒グレイスワインのキュヴェ三澤が好きで、白ワインは本場のブルゴーニュと比較しても引けを取らない品質の高さです。
作りてだけでなく土壌も良く、適度なミネラル感や糖度は長期熟成にも耐えられるクオリティなのは間違いありません。数年前にコンクールに入賞しているので、最近は入手が難しいのですが二次流通価格はそれほど上昇していません。
何本か所有しているので、キュヴェ三澤だけでチャートを作成してみました。先日は長野県限定で1,000円で終了するなど絶望的なほどブームが来ていません。
東京都内限定の出品では、1万円前後で終わるなど、なんとか希望小売価格の前後で取引されているようです。
白州蒸溜所から10kmも離れていない、北杜市須玉にあるBEAU PAYSAGE(ボー・ペイサージュ)津金は、過去10年で2倍程度の上昇をしています。
北海道余市のドメーヌ・タカヒコは、日本ワインで今現在、最も有名な生産者の一人ですが、チャートを見ると納得します。
2012年頃は5千円から1万円程度での落札が多かったですが、順調に価格が上昇していき、現在では2万円を超えた価格で売買が目立ちます。
当時保有しているワインは5千円が3万円程度まで上がっているものもあります。
特にナナツモリのピノノワールが人気で、3本で7万円以上、4本で10万円と本格的な上昇の兆しをみせています。
まだまだ話題になっておらず、一部のマニアだけで買っている状況なのでSNSやメディアで有名になったり、海外で高評価を得ると一気に価格が上がる可能性を秘めています。
ちなみにドメーヌ・タカヒコはまだ飲んだことがないので、味の方は分かりませんが、きっと美味しいことでしょう。
一度ブームが来たら上がりやすい?
ワインとウイスキーは醸造酒と蒸留酒という違いがありますが、飲む回数も異なります。ウイスキーの場合は700mlを1本開封しても10~30回ほどは楽しむことができます。アルコール中毒や酒豪であれば一晩で半分以上飲む人もいるかもしれませんが、一気に飲む人は少ないです。
ところがワインは、一度抜栓すると分毎に味が変化していくことから、すぐに飲まれる傾向にあります。ディナーでボトルを2人で開けるのはフレンチでは良く見られる光景です。少し強い人だと1人で700ml開けてしまい翌日仕事に行くなんてこともあるほどです。
二人で飲むとしたら一夜で終わってしまうのが一般的なのです。そうなると、年間3,000本の生産量がある上記のような有名日本ワインも、年間10本飲みたい顧客が100人居たら終わってしまいます。
ブルゴーニュワインの高騰は投機的はもちろんですが、一夜で1本空いてしまうあたりにも原因があるはずです。大陸系SNSを眺めていると、現時点ではイイネ数が20~30件の小さなアカウントで、日本ワインの比較をしているのを発見しました。
ウイスキーと比較すると、まだまだ全く生まれたての小さな市場ですが、長期的にみればブームが起こる前に集めておいても良さそうですね。
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