最近は100万円以上の超高額ボトルの情報が続いていたので、久しぶりに1万円以下の手頃な入門用ウイスキーの価格推移について触れてみます。
今回ピックアップしたのは、マッカラン、グレンファークラス、グレンドロナック、グレンアラヒーです。
いずれもスペイサイドやハイランドの有名な蒸留所で、少し前までは全国の成城石井や酒販店に並んでいました。田舎のスーパーでも見つけることができるほどの定番品です。
中国市場ではシェリーカスクが人気が高く、濃ければ濃いほどよいとされています。そんなシェリーカスクですが、肝心の酒精強化ワインとしてのシェリーワインが不人気で、今では貯蔵樽のシーズニング用として飲用ではないシェリーワインを詰めて香りをつけて、中身を捨てていることもあるそうです。
シェリーだけでなく、ファーストフィルのグレーンウイスキーで洗い流して、ボトリングするなど、昔とは違った大量生産がされています。これを良しとするかは別問題ですが、味の良いシェリーカスクが入手困難なのは事実です。
もともとシェリーワインは、ソレラシステムという複数の積み重なった樽を上から順番に足していくという方式で、貯蔵用の空き樽はほとんど出ません。スペインからイギリスへの輸送用の保管樽に、そのままウイスキーを詰めていたそうですが、産地呼称制度の制定によりスペイン国内でシェリーがボトリングされると輸送用の空き樽さえも出なくなってしまったようです。
そうした事情で、マッカランを始めとした、スペイン国内でシェリーカスクを製造して、そのカスクを引き上げるような仕組みができたようです。
話がずれてしまいましたが、上質なシェリーカスクが少ないため、1980年代以前のシェリーカスクは今とは異なる美味しいものが多く、高値で取引されています。
さて、相場に入ります。
グレンアラヒー 12年
グレンアラヒーは最近リリースされた蒸留所で、グレンドロナックを売却したビリー・ウォーカーが、無名だったブレンデッドウイスキー用の蒸留所を発掘してきて買収したそうです。
そんなアラヒーが日本で人気になるまで時間はかからず、近年のシェリーカスク不足も相まって国内の百貨店などでも人気があります。
2015年まではわずか3,200円で購入できました。そこから値上げがされて2020年から2021年には4,500円に。
去年の秋から6,000円に上昇、現在は7,500円以上で落札されています。2020年に買った人は、たった2〜3年で200%の含み益という全盛期のビットコインのような上昇になっています。
ただ、単価が低いので即ち儲かるわけではないですが、投資資金が少ない方にはラッキーな銘柄でした。
グレンファークラス 12年
グレンファークラスは生産能力も高く、ウイスキーの貯蔵数も断トツです。人気がない不況時も仕込んでいたため、安定してリリースできていました。
それも過去の話で、去年から30年、40年は市場から姿を消してしまい、一部のネットショップでしか入手できなくなりました。去年始めまで30年が5万円を切っていましたが、今では2倍近くなっています。
1980年代の原酒ファミリーカスクもほとんど出会うことができません。
さて、そんなグレンファークラスも12年になるとさすがに在庫豊富で、今の所それほど上昇をしていません。2,800円程度だった銘柄が3,400円と微増にとどまっています。
個人的には1970〜1990年代のグレンファークラスは、在庫が減っていく一方なのでどんどん上がっていくと思います。
グレンドロナック12年
さて、今一番アツいのがグレンドロナック12年です。2021年まで3,200円程度だったものが去年5,000円まで上昇。今では6,500円で終了することもあるほどです。
グレンアラヒーも人気ですが、グレンドロナックは21年や18年は2〜3倍に、12年物でさえジワジワと上昇しています。
数年前のマッカラン12年に近い価格帯にまで上昇しています。今年ももう少し上がるかもしれません。
マッカラン 12年
王道のマッカラン12年シェリーカスクです。
2019年、つまり4年前までは4,500〜5,000円で購入できました。2020年に異常事態で6,000円まで急上昇して、そこから去年1年で1万円まで上がるという異例の事態になっています。
ハッキリ言って今20〜30万円で売買されているマッカラン18年、2010年当時は1万3千円と今の12年と同じ値段でした。当時の値段を知っていると今のマッカランの品質で12年に1万円は考えられないのですが、ないものはないので売れているようです。
マッカランは蒸留所もリニューアルして生産能力が上昇しているので、今後は原酒が増えて安定供給で価格が下るのか、それとも供給量を絞ってドン・ペリニヨンのように価格を釣り上げてブランディングするのか、それは今の所わかりませんが、2020年頃まで安くなるのは考えにくいですね。
これからどうなる?
さっぱり分からないのですが、日本だけでなく世界的なインフレ、それも英国は燃料資源などの事情で、電気代が8〜10倍になるなど危機的状況です。それを考慮すると、今後数年間は今よりも安くなるというのは考えにくく、想像できませんがシェリーカスクの12年が1万円〜2万円まで上がる可能性は否定できません。
書いていて「さすがにないでしょww」と思っているのですが、グレンドロナックが8千円、マッカランが1万4千円で店頭で売られているのを見ると、その時は案外近いのかもしれません。
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