年末年始に希少ウイスキーやワインが販売されるかも!と淡い期待で、百貨店や酒販店を巡ったのですが、残念ながら都内は全くといって良いほど希少品は出ませんでした。
某お酒に強い家電量販店では、いまだに知多やサントリー・リザーブが「お一人様一本まで」と札を付けられて売られています。昨年の夏の下落を見ていると「もしかして国産ウイスキーブーム終わった?」と思える節があったので、正直なところ国産ウイスキーの在庫がダブつくのではと期待をしていました。
国産ウイスキーだけでなく、スコッチウイスキーも同じように在庫が極端に限られている状況です。何度もお伝えしているとおり、昨年の2022年3月頃から5月にかけて急激に主要スコッチウイスキー・シングルモルトが在庫がなくなり高騰。
「コロナの影響」「瓶・パッケージ不足」「海上コンテナ輸送の受け入れ先の混雑」「ロシア迂回」など様々な理由が挙げられていますが、1年近く経っても安定供給がされていない状態です。
例えばボウモアといったサントリー傘下の、品質・生産管理能力が極めて高い蒸留所でさえ長期熟成品は市場に出回っていません。アサヒ系列が多いグレンドロナックも12年以上は店頭で見かけることがありません。
ましてやスプリングバンクのように生産数量が少ないものは、プレミアム価格でも見かけることがありません。
売り方が変わる?
2022年から気になっているのが、少しずつ一般の酒販店もプレミアム価格で販売するようになったということです。ドン・キホーテなんかは相場に敏感で、山崎や白州を相場より高い値段で、店頭に並べていることを見かけます。
今までチェーンの酒販店は卸先の関係からか、極端にメーカー希望小売価格から離れた値段で陳列される事はありませんでした。もちろんメーカーが定価を強制すると「再販売価格維持行為」に該当し、独占禁止法に該当してしまいます。
そのため、プレミアム価格は許容されるはずですが、定価での販売。そして相場より極端に安いものは瞬時に買い占めされてしまうという流れでした。
今でこそ百貨店やイオンリカーなど抱き合わせ販売をすることが目立ちますが、母体が大きい会社ほど希望小売価格で販売しようとしています。
上記店舗では、以前より極端にシングルモルトの在庫が減っています。プレミアム価格での販売をしていないので、人気の銘柄がどんどん完売してしまうようです。例えばブルックラディの限定品や、アランの10年など数年前であれば簡単に入手できた銘柄も完売しています。
タイトルの「今後のウイスキー、売り方が変わる?」ですが、なぜ売り方が変わっていくと思ったのか。それは大手販売店でも、ワインのプレミアム価格販売を始めたためです。
2019年まではプレミアム販売をあまり行っていなかったのですが、昨年2022年ころから限定品を中心に、インポーターが設定する通常販売から200〜500%の上乗せ価格で店頭に出すことが増えたためです。
例えば、上記のミュニュレ ジブールは2017年のヴォーヌ・ロマネを11万円で販売しています。ところが、このボトル最新VTでも通常販売価格は22,000円です。
エノテカではカード会員など割引などあるので2万円程度で買えることもあります。
需要に対して在庫数が極端に少ないので、ヤフオクでは状態不明の中古が4〜5万円で売買されています。つまりメーカー希望小売価格で販売すると、ワインを飲む目的でない人でも2倍の値段で売れてしまうのです。
そうなると本当に必要な人の手に渡らないので、市場価格に合わせてプレミアム価格で販売しているのかもしれません。
ウイスキーも今後プレミアム価格での販売が増える?
現状は、国産ウイスキーはプレミアム価格での陳列が増えていますが、スコッチウイスキーやシングルモルトはまだ多くはありません。
このまま市場価格と店頭価格の乖離が大きいと、転売目的での買い占めも増えてしまうので、どこかしらのタイミングで大手酒販店もプレミアム価格での販売にシフトしていくのではないでしょうか。
もうひとつ面白い現象があります。
昨年の6月から半年以上も在庫が残っていたグレンドロナック27年、ついに高島屋から販売ページが削除されていました。
年初にはまだ残っていたので、今年の初めに売り切れたようです。
https://twitter.com/whisky_inv/status/1550637193374617601
2本セットで20万円で落札されるなど、当初から不思議の多いボトルでしたが、在庫がある状況でも定価以上で落札されています。
つい先週も9万円で落札されました。在庫があってもプレミアム価格として落札されるので、このまま完売して数年すれば高い確率で上昇するのではないでしょうか。
仕組みとしては、高島屋がグレンドロナックに樽のオーダーをして決済したタイミングと現在の樽の相場に大きな差があるためです。本来であれば現在の価格に合わせて1本15万円など市場価格に調整しますが、安い時期のままで販売しているので百貨店だけの単独販売にも関わらず、705本を半年でさばいています。総額5,500万円相当なので、なかなかインパクトがあります。
為替レートやウイスキーの市場価格が乱高下しているので、2020年までのように安定した価格で供給を続けるのは難しいはずです。特に発注が全量納品されないような割当品に関しては、酒販店が価格を変動で並べるのも近いかもしれませんね。
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