昨年、「中国でのウイスキー投資過熱、少し怪しい提灯記事」としてお伝えした「白河1958」ですが、半年以上経った現在でも在庫が余っているようです。
二匹目のドジョウとして、国産の超高級ウイスキーポジションを狙って発売された「白河1958」。462万円という山崎55年超えの定価で話題になりましたが、売れ行きは厳しいようです。
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1743095136617708272&wfr=spider&for=pc
品鉴美酒 2022-09-05 10:31 广东
Baiduでの提灯記事を見ると、投稿日が9月5日になっていますが、日本でのプレスリリースは同年の12月1日です。中国市場を中心に、海外マーケット向けに限定1500本で発売されたのですが、山崎55年のように予約殺到&即完売とはいかず、半年以上経った現在でも在庫が豊富にあります。
それどころか、MoMでは3,611,430円から3,550,233円まで約10万円ほど値引きされています。実際に飲んで楽しむのであれば問題ありませんが、投資目的として日本国内で462万円で購入した人は、かなりがっかりしたのではないでしょうか。
WhiskyBaseを見ると25000ポンドで6件登録されており、MoMでの在庫2個を考えると、実際には多くのボトルが販売店、もしくはメーカー倉庫に残っているのではないでしょうか。
なぜ「白河1958」は売れなかったのか?
ニュースリリースによると、宝酒造株式会社の福島県白河市工場で蒸留され、宮崎県高鍋町の焼酎工場で熟成されていたそうです。海外サイトでShirakawa 1958を調べると、真偽のほどは分かりませんが、ステンレスタンクに放置されていたようなものを引っ張り出してきたと言われています。
確かに、白河ウイスキーは酒屋で一般販売されていませんし、突然の超熟ウイスキーの登場に市場は良いイメージを持たなかったのかもしれません。
例えば、山崎55年はサントリーが「山崎蒸留所」というブランドでウイスキー作りを100年間行っており、その数万樽以上の中から厳選された1樽がボトリングされました。
味がそれほどでもない樽はブレンド用に回され、優れた樽は山崎25年などの高級ウイスキーに使われていたはずです。そんな中から選ばれた1樽ということで、1億円以上というプレミアムがつきました。
保管されていた樽材に関するスペックや、倉庫の情報なども少ないことから、本当にステンレスタンクに残っていただけの原酒だったことは否めません。「白河ウイスキー蒸留所」と検索しても、蒸留所内の保管庫や蒸留設備などの写真が全く出てこないことからも、あまり公にできないような状況であったと推測できます。
中国人の富裕層は、定価1万円弱の響・意匠ボトルや山崎の限定ボトルには、平然と100万円、200万円という大枚を叩くにもかかわらず、同じ日本の希少古酒である「白河1958」に見向きもしないというのは、「技術、製法、歴史などが確かでないと購入しない」ということの裏返しです。
64年前の原酒が49%でボトリングできるのも不思議な話です。
詳しい熟成樽の種類や樽での熟成期間は不明=つまり、ステンレスタンクや樽以外の状態で保管されていたことになります。
検索サジェストでは、「値上がり」「オークション」「転売」など投資目的として気になっている人が多いようですが、市場のボトルが全て完売しないと値上がりはありません。
「白河1958」は海外マーケットを対象とした「一攫千金チャンスボトル」。420万円 × 1500本 = 630,000万円。合計で63億円になったらいいな〜という企画だったのではないでしょうか。
中国でのPR記事が2022年9月5日、日本市場では2022年12月1日をみると「やばい海外で思ったより売れないから日本でも売ろう!」と本数を70本に絞った可能性も考えられます。
SNSを検索すると、医師や実業家など、資産が豊富な方々が「インフレ対策に」「資産形成に」と購入したことを報告していますが、現時点では値上がりは難しいのではないでしょうか。
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当サイトの内容は個人的な推測に基づくもので、内容の完全性や、その正確性を保証するものではありません。ウイスキー投資は法律上の制約や損失が発生する場合があります。必ず自己責任おいて入手・売却等をお願いします。利益が出た場合は、確定申告など税務上の申告が必要になる場合もあります、税理士や税務署職員に相談ください。大量の酒類を個人売買する際には、酒税法上の免許や認可が必要になります。