ヤフオクの売買を見ていて、「オークションハウスみたいだな」と思った手法があります。実際に他の同一ボトルよりも、20%以上も高い値段で落札されていました。
種明かしをすれば、特別なことではなく当たり前なのですが、今回は『全く同じボトル』を高額で売るコツを解説します。
ヴィンテージワイン売買に似てきた手法
ここ十数年でウイスキー売買が活気づいてきましたが、昔はオークション会場のような対面ワインオークションが人気でした。
この時に何が最も重要かというと『真贋鑑定』になります。保管状態も大切ですが、そもそも出品されているワインは本物なのか証明する必要がありました。
そのためキャップシールの一部が切り取られて、鉛の比重や金属組成がドメーヌ、シャトーと同一のものか確認されます。偽物は印刷デザインこそ似せますが、金属組成まで真似するのは極めて難しいことです。
たとえ目視でも、質感が異なっていると偽物の可能性が出てきます。他にもキャップシールの下を切り取って、コルクの長さや刻印を見る方法もあります。
どんなワインが信頼されて高額で落札されるのか?
それは出荷当時の6本または12本の木箱と領収書や請求書が残っているボトルです。当時の買い付け日付が分かる書類と、木箱の封印がされたままオークションハウスが開封したものは本物の可能性が高くなります。
少なくとも空き瓶を見つけてきて偽物を作るのは不可能になります。中にはMahler Besseのようにワイン商のラベルが貼ってあるボトルもあります。「誰がいつ、購入したのか」トレーサビリティできるボトルは、他の同一ボトルよりも高額で落札されます。
ウイスキー元箱と領収書を付ける
はっきり言って、どんなウイスキーでも100%値段が上がります。肝心なのは、それがいつか分からないだけです。今、スーパーマーケットに行って適当なシングルモルトを購入して、領収書とメーカー出荷元箱(6本組)を完璧な状態で50年保持すれば何倍もの値段が付きます。
何しろ何千万本と製造された、コカコーラの空き瓶さえ昭和当時のセットが倉庫から発見されると高額な値付けがされます。飲める可能性のあるウイスキーは、半世紀前ならどんな銘柄でも高値が付きます。
流通しなくなったタイミングで価値が上がる
先日、1986年に製造された未開封スーパーマリオのカセットが7000万円で落札されました。完全に新品でフィルムがついていたことから史上最高額がついたそうです。
仮にこのカセットが2000年頃に出てきても、せいぜい数十万円だったのではないでしょうか。1990年頃だったら二束三文かもしれません。
時間の経過とともに、完品の数が減り、対称に指数関数的に価格が上昇した結果が7000万円だったのです。
ウイスキーボトル投資のコツ
このことから、ウイスキー投資をする場合も、出荷当時のメーカー箱を傷つけずにフィルムで保護して、領収書を含め6本揃えて完璧な状態で保管すれば、他の本物かどうか怪しいボトルより何倍もの価値がつく確率が上がります。
これには『真贋鑑定』とは別に、もう一つの理由もあります。
ある30年前のウイスキーを揃えたいと思ったときに、1本ずつ中古市場で入手するとコンディションがバラバラで日焼けや液面もチグハグになってしまいます。
一例ですが、1995年に蒸留所がスタートしたアラン・モルトのボトルを歴代すべて集めたいと思った富裕層がいたとします。
そのときに1本ずつ集めるよりも、シリーズで何十本もまとめて所有しているオーナーから譲り受けたいものです。多少の経年劣化はあったとしても、ディスプレイしたときに状態が揃っているからです。
このような理由から、シリーズ物や同一ボトルでも、揃って所有していると1本だけの出品よりも高い評価を受けることができます。
更に厳重な保管方法とは?
現在は重視されていませんが、10年以上の長期保有になると箱の黄ばみやサビなどが目立ちます。1980~1990年代のウイスキーラベル・ボトルは状態が悪いものばかりです。
そこで一本ずつラベルにラップなどを巻き、ネックとシールにはパラフィルムで揮発予防、箱には梱包用ストレッチフィルムなどで保護すると状態良く長期保管ができます。
もし10万円以上の高級ウイスキーを長期保管するのであれば、アルミホイルなどで遮光して、シリカゲルを使った乾燥剤とともに布団保管用などの大きなジッパー袋に入れることで箱も完璧な状態で残せます。キャップのパラフィルムは2~3年に一回巻き直すのが理想です。
最近では、ボトルを真空パックするなど様々な手法が出てきていますが、まだ関心が低いのが実情です。早いうちから取り入れることで、スーパーマリオのカセットのように奇跡的な一本になると良いですね。
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