今回は限りあるお小遣いでも挑戦できる、1万円以下の手頃なウイスキーで投資戦略を練ってみます。(やや初心者向けの記事になります。)
「何も考えずに集めてもゴミになりますよ!」
最近こんなフレーズを見かけて、面白いなと共感してしまいました。
Twitterに居るようなウイスキー初心者は、ついついインフルエンサーの情報に踊らせられやすいです。
これは実際に目撃した例ですが、誰かが「ライセンスド・ドラムを定価で入手できました!」と騒ぎ立てると、翌日には別の人が「定価で4本購入できました」とテーブルに並べる写真をアップします。
そこで近所の酒屋に行くと目当ての「ライセンスド・ドラム」が並んでいて、慌てて高値で買ってしまう。こんな流れを何度も見かけます。
結婚して家庭を持っていると、月々に自由に使えるお金というのは限られているはずです。味が気になって飲みたいならまだしも、「これは後々値段があがるなフフフ」と下心を含んだ投資のために買ったのに、待てど暮らせど上がらないばかりか値段が下がることもあるのです。
この「ライセンスド・ドラム」は数量限定と鳴り物入りで発売されましたが、ビック酒販では定価7,678円のボトルが、6,180円まで値下げして販売しています。それどころか、ヤフオクでは5,000円代で落札されています。
実店舗ではプレミア価格で上乗せされて、8,000円以上で買った人も存在するようです。
福袋の”ハズレ”を大切に抱える人
もうひとつ、最近の酒販店は「福袋」を作れば在庫処分ができることを覚えてしまい、山崎リミテッドエディションなどをアタリに入れて、大量生産のウイスキーをバンバン売り切っています。
購入する側もわかった上なので、販売方法は全く問題ないのですが、それを投資のつもりで何も考えずに集めている人がいます。本人は投資のつもりでしょうが、「それ、何年持っても下がるだけしょ……」といったボトルを押入れに後生大事にしているので可哀想に思えてしまうほどです。
ウイスキーを購入するときに、目的を明確にするべきです。
1.福袋ガチャガチャのようにお祭り騒ぎを楽しみたい。
2.初心者なので、とにかく色々なウイスキーを飲んでみたい。
3.美味しいウイスキーをすぐに開封して飲みたい。
4.今後、飲むために保管する(価値が上がったら嬉しいな)。
5.飲むかもしれないけど、長期投資として価値のあるボトルが欲しい。
パッと思いつく範囲では上記の5つでしょうか。
1と2は、ウイスキー福袋は最適です。何が届くか分からないワクワク感を楽しんだり、未知の味わいを経験するのには向いています。
3と4は、あまり向いていません。福袋でランダムに買うより、ウイスキーマニアやバーテンダーさんに味の好みを伝えて、良い銘柄を教えてもらう方が効率的です。
5の場合は福袋は向いておらず、間違っています。
生産本数やスペック、蒸留所の人気や市場の動向を分析して、適切に選ぶ必要があります。
長期投資として価値のあるボトルを買うには
・人気のあるオフィシャルボトルの終売(休売)を狙う
・ボトラーズブランドの生産本数が少ないボトルを狙う
少ない予算だと、現状この2つしか方法がないと思います。
1つ目は、「ボウモア18年」のように長年バーで人気があったボトルの終売情報を早く手に入れて購入する方法です。
人気のあるオフィシャルボトルの終売(休売)を狙う
「ボウモア18年」は2月まで9,100円で売られていたものですが、休売になり早速13,000円まで上がっていますし、今後も緩やかに上昇を続けると思います。
ただし、仮に同じラベルのまま再販した場合は急落することもあります。
愛飲家も多いですが、生産本数が不明なのとボトリング年数がないのがデメリットです。
ボトラーズ・ブランドの生産本数が少ないボトルを狙う
最近はボトラーズも2万円以上が主流になり、1万円を切ったボトルで価値のあるものは難しくなってしまいました。これも失敗した例ですが、ビック酒販から実際に選んでみます。
最も有名なボトラーズブランドであるゴードン&マクファイルのディスカバリー(入門シリーズ)です。「スモーキー・ウイズ・ピート カリラ 13年」というボトルです。
オフィシャルボトルのカリラよりも、個性の強い樽を選んでいます。煙とピートとあるので、実際に飲んでも美味しいのではないでしょうか。
WhiskyBaseで見ると最安値は48ユーロ(6,500円)、平均価格も60ユーロ(8,133円)なので、やや日本の代理店価格が高いですね。
レーティング評価はは84.36/100、本数は表示がないですが、433人が所有しているので実際には2~3千本以上がリリースされていると推測できます。
2018年登録なので、もっと流通量が多いかもしれません。
お次はモリソン・マッカイという無名なボトラーズブランドです。
値段もギリギリ1万円を切っています。ダルユーインはスペイサイドにあるマニア向けの蒸留所ですね。
WhiskyBaseで見ると、2012年ボトリングの9年熟成、瓶詰め本数は816本ですね!同一スペックの2つの樽をあわせてボトリングした本数だと思います。
最安値は53.95ポンド(8,701円)、平均価格は69.36ユーロ(9,404円)です。先ほどのG&Mよりお得感があります。
3人の評価なので信憑性は低いですが、レーティング評価はも85.33/100です。
ヤフオクを見ると、4,500円で投げ売りされていたので、しばらくは値段が上がらなそうです。モリソン&マッカイは年々値上げしているのと、本数が816本しかないので、投げ売りが収まると徐々に値上がりが起こると予想できます。
大手酒販、定価で1万円以下は難しい
調べてて思ったのですが、大手酒販で長期投資ボトルを見つけるのは想像以上に難しいです。同じ予算であれば、ヤフオク・メルカリを漁った方が良いものが発見できそうです。
パッと調べて良いなと思った例は、昨日出品のオルトモア18年。
送料込みで8,000円はお得ですね。残念ながら売り切れています…。
有名なウイスキーエクスチェンジでは、107ポンド(17,265円)で販売されています。日本では在庫極少ですが、11,000円で販売されています。
そうなると、先ほどの8,000円はかなり安い価格といえます。
1万円は少しオーバーしますが、海外在庫を見ているとフェリシティーで買っても数年保有で15,000円~20,000円以上を狙えるのではないでしょうか。
このようなマニア向けボトルは判断が難しいですが、少なくとも福袋で「シーバスリーガルミズナラ」を引いて大切に保管するよりは、効果的な投資になると思います。
ウイスキー投資は、一昔前までは安くて価値のある掘り出し物が見つかりましたが、最近は低予算だと難しいものがあります。
特に有名な国産ウイスキーは安値での入手は困難ですので、上記の例のように「マニアックで価値のあるスコッチ」を掘り出すのが効果的かもしれませんね。
免責事項
当サイトの内容は個人的な推測に基づくもので、内容の完全性や、その正確性を保証するものではありません。ウイスキー投資は法律上の制約や損失が発生する場合があります。必ず自己責任おいて入手・売却等をお願いします。利益が出た場合は、確定申告など税務上の申告が必要になる場合もあります、税理士や税務署職員に相談ください。大量の酒類を個人売買する際には、酒税法上の免許や認可が必要になります。