オークションで目立った、直近の相場を確認できるようにレポートをお届けします。購入や売却、今後のポートフォリオの参考にしてみてください。
前回までと異なり、スクリーンショットを用いて構成を変更しています。
公開日 2022年5月4日
サントリー ヤング・プレジデント 50周年記念
珍しいボトルが出てきました。
私自身も初めて知ったボトルなので、オークションの本文を引用して解説してみます。「YPO」と呼ばれるビジネスリーダー会員に50周年記念として配布されたボトルのようです。
検索してみると、タリーズコーヒーの創業者が入会したといった内容のブログが出てきます。当該の公式サイトは見当たらないのですが、大手企業の創業者など入会が難しいようです。
このボトルは、1962年の樽から作られたウイスキーで「山崎50年」のように希少価値があるようです。ブレンデッドウイスキーでグレーンが混ざっているので、今回のような金額で取引されています。大手買取業者での買取参考価格は2,310,00円前後です。
過去10年の相場を調べてみると、直近では、2020年8月4日に「551,00円」、2019年8月20日に「337,000円」最安値は2018年2月12日「297,000円」です。
たった2~3年前までは30万円あれば購入できたようです。
流動性の低い相場の不安定なボトルだっため、ここになって急騰しています。リスクを取って30~50万円で購入した人たちは大きな利益となりました。
今後の相場は読めませんが、もし今回の300万円落札が続伸して500万円以上になるとすれば驚きですね。
岡山蒸留所 シングルカスクウイスキー ミズナラ
こちらは販売価格 77,000 円の岡山蒸留所のウイスキーです。シングルカスクで5年熟成のミズナラ樽です。
正直な感想では、「バカバカしい!」とも思いますし、「いや、国産ウイスキーでも素晴らしい部類」と両方の感情が混ざっています。
その理由は5年熟成のウイスキーは、スコットランドなら有名蒸留所でも1~2万円未満です。そもそもリリースしないレベルの短い熟成期間です。最近ではタリスカーやラガヴーリンが10年未満をリリースしますが、良質な樽を厳選したボトラーズブランドでも、カスクストレングスが2万円を切ります。
そのため、試験的に製造した国産ウイスキーが5年で1本7.7~9万円というのは「ご祝儀価格にしても高すぎでは?」と思ってしまいます。
もう一つの感情は、こちらの岡山蒸留所は新興蒸留所の中でも丁寧な作りをしていて、原材料にもこだわりを持っている会社です。
Youtubeを見ると、ドイツ製の単式蒸留器の説明を行っています。動画の後半には貯蔵庫の映像があり、英国の法律と同じ用に樽熟成で3年以上貯蔵していると解説しています。
英国では当たり前ですが、国産蒸留所で3年貯蔵・熟成庫を公開している蒸留所は信頼のできる要素のひとつです。また、同社の原材料は岡山県産の大麦を使うなどテロワールを大切にしている姿勢があります。
今でこそ、ブルックラディなどが声を上げていますが国産蒸留所でご当地大麦を使うところは少数なので、評価したいところです。
グレンファークラスであれば40年熟成のウイスキーが購入できるような予算で、たった5年熟成の国産ウイスキーを買うかどうかは悩ましいところですが、国内ウイスキーを対象に投資をしている方であれば、プレミア価格もそれほど上乗せされていないのでリスクを取る価値がありそうです。
ワイルドターキー 12年 リミテッドエディション
7,200円でワイルド・ターキー13年が買えるのに、なぜか10万円を越えるワイルド・ターキー12年のリミテッドエディション金ラベルです。
やはり、バーボンもこの時代は美味しかったということなんですね。
SNSで話題になっていないのに、価格が上がっている銘柄というのはチェックしておいた方が良いです。バーボンの中でも有名で気になる1本なので、過去5年の取引価格を分析してみました。
ころを見る限り「そろそろ跳ねる?」と予感させる相場です。
現在は2020年末からボックス相場ですが、下が埋められ9万円切った落札が減っています。ここから数ヶ月から1年ほど揉み合い続けて、上に抜けると予想してみます。もし9万円切った価格で販売されていたら、同額以上では売却できそうですので「買い」ではないでしょうか。
バーボンでも「イーグル・レア」「ノアーズミル」「ブッカーズ 」「オールド フィッツジェラルド」「オールドグランドダッド114」このあたりは、新ボトルとオールドボトルで10倍以上の乖離があるので、新参者が騒いでいない今から集めるには良い時期だと思います。まだ中国市場でもOBバーボンまで辿り着いていないようですので、もし中華資本が入った場合はさらに急騰するかもしれません。
実は私自身はバーボン相場が苦手意識があり、10本程度しか所有していません。今年は、バーボンの所有数を増やそうと思っています。
ちなみに、今後記事にしようと思っていますが『ワイルドターキー13年』が6月に終売するそうです。最近はバーボンの年数表記も減っているので、値上がりの可能性ありそうです。
G&M ストラスアイラ 1958
10年前まで4~5万円でゴロゴロ転がっていたG&Mのストラスアイラです。液面が少し低いですが、1950年代のシングルモルトが12万円って結構安いのではないでしょうか。
ストラスアイラのこの手の長期熟成は流通量が多く、地方のちょっとした洋酒販売店でも並んでいたほどです。そのため贈答品などでひょっこり出品されることがあります。
山崎18年と1950年代ストラスアイラどちらか飲ませてくれるなら、迷わずこちらですね。WhiskyBaseだと1600ユーロ(約219,019円)で、1件だけ個人売買があります。
先ほどの「ヤング・プレジデント」が300万円で、このウイスキーが12万円なのが個人的には納得いかないです。相場というのは難しいですね。
長期的に見て、1950年代のモルトが下がるというのはまず無いので、予算があればG&Mを狙うのも良いと思います。
偽物ボトルが大量に流通?
山崎18年、白州18年、響21年やばいですよ。
百貨店や大手酒販など正規店以外では購入しないほうが良いですよ。評価ゼロ・初回出品の偽物アカウントは判断しやすいですが、一度でも一般人の手に渡ると追跡できません。
今の所キャップシール程度しか判断方法がないので、精巧なキャップシールが作られた場合は、買取ショップなども偽物を手にしているかもしれません。何しろボトルと箱が本物なので、見分けがつきません。
既にかなりの量が流通しているので、皆様もお気をつけください。
味と相場の関係
ウイスキー投資の難しく面白いところは、「相場に味は関係ない」のに「最終的に味が関係ある」ところです。相反する事象が起こりうる複雑な投資だと思います。
一例ではバーボンなんかは、味の良いオールドボトルが10万円を越えるような極端に高価で取引されますが現行のそっくりラベルは3~4千円で売られています。山崎18年は、そもそも2万円のボトルが20万円近くなっていますが、味の良かった1990年代のボトルは更に値段が上がっています。
稼ぐための投機に利用している人と、実際に飲んで楽しむ人が混在しているので上記のような複雑な状態になっています。この需給をうまく見定めれば、下落のリスクを抑えて上手に投資できると思います。
免責事項
当サイトの内容は個人的な推測に基づくもので、内容の完全性や、その正確性を保証するものではありません。
ウイスキー投資は法律上の制約や損失が発生する場合があります。必ず自己責任おいて入手・売却等をお願いします。利益が出た場合は、確定申告など税務上の申告が必要になる場合もあります、税理士や税務署職員に相談ください。大量の酒類を個人売買する際には、酒税法上の免許や認可が必要になります。