今日も飽きずに「ウイスキーと投資」の話をしようと思ったのですが、久々にワインの話をしたいと思います。
皆さま、日常的にワインは飲まれますでしょうか?
ちょうど一年前の今日(5月6日)に、こんな出来事がありました。あるお店で、ブルゴーニュの有名なエシェゾーを「グラス提供 70ml / 6,750円」で飲めるというのです。
ウイスキーやワインというのは、人間の感覚器官、感性と価値観を試すもので、数値に置き換えることができません。その最たる例がブルゴーニュワインです。
ブルゴーニュワインのエシェゾーとは?
ご存知ない方に説明しますと「エシェゾー」とは、かのDRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ)社も所有するヴォーヌ・ロマネ村の特級畑です。
DRC社のエシェゾーは60万円ほどしますが、グロ・フレール・エ・スールのような、ク◯みたいな生産者であれば2万円代でも購入できます。畑の面積は約35.3haですので、東京ディズニーランド3分の2ほどの面積を何人もの生産者で共有しています。
ジャンテ・パンショのジュブレ・シャンベルタンは、ラズベリーやカシス、赤い薔薇など、とにかく濃くてエレガントな香りが楽しめます。
問題は右のエシェゾーです。
香りも味わいも男性的で力強く、有機シナモンのような濃い香りは、土壌の良さと生産者の力量が伝わってきます。ブドウからここまで濃くパワーの溢れて、それで上品なワインが作れるとは関心してしまいました。
口をつけ「素晴らしい!」と拍手したいのですが、お値段なんと61,600円……。
スタッフの女性に「いかがでしたか?」と問われて、「これは良いワインですね」と答えましたが、内心では「ウマいけど、6万は無いでしょ、アホくさ」と思いながら買わずに帰路につきました。
それから一年近く経ち、オークションでワインを見ていると、あの日飲んだワインが出品されているではないですか。お値段はなんと、1本330,999円(税込 364,098 円)、600%も上昇しています。
当時このエシェゾー6本を37万円で購入していたら、理論上218万円まで上がっていることになります。
あの日、在庫も豊富にあり広域ブルゴーニュからヴォーヌ・ロマネ、ニュイ・サン・ジョルジュなど幅広いラインナップが揃っていましたが、「いやいや、高すぎでしょ」といった先入観から1本も買わずに帰ってしまいました。
今、1年前のあの日に戻ったとしたら「心に響く素晴らしいワインですね!お願いです!店舗にある分を全て譲って頂けませんでしょうか?」と深々とお辞儀してしまいそうです。味や香りの体験と、流通価格の”価値尺度”は本当に分からないものです。
さすがに、たった1年でここまで上がるワインは中々ありませんが、ラベルチェンジによる品質上昇とワイン誌による高得点などで、取引価格が上がると実感した出来事でした。
今後、値段が上がるブルゴーニュワインは?
正直、ブルゴーニュワインは「コート・ド・ボーヌ」と「コート・ド・ニュイ」であれば、概ねどのワインも値段が上がると思います。
広域ブルゴーニュではなく、村名ワインなかでも人気の「ジュブレ・シャンベルタン」「ニュイ・サン・ジョルジュ」「シャンボール・ミュジニー」「モレ・サン・ドニ」「ヴォーヌ・ロマネ」このあたりの村名で生産者選びを間違えなければ、ほぼ上がります。
多数の収穫されたブドウを混合する農業組合はまず除外して、グループ企業や大量生産をしている生産者もNGです。コルトン・シャルルマーニュなど例外はあれど、「ルイ・ラトゥール」や「ルイ・ジャド」なんかの日本のスーパーマーケットに並ぶ銘柄はダメです。
他にも、「グロ・フレール・エ・スール」「ブシャール・ペール・エ・フィス」「メゾン・ジョゼフ・ドルーアン」なんかも、一部のモノポール(単一所有)の特級畑だけが価値が上がります。
ウイスキーも同じですが、大量生産しているものは価格が上がりにくいですし、品質も画一化されて落ちている傾向にあります。中でもブルゴーニュワインの美味しいと評価されて人気の生産者は、毎日畑に立ち手で雑草を摘み、ブドウを間引き、馬で耕しているところもあります。
当たり前すぎますが、収穫は100%手摘みでカビや痛みを除去する選果も厳しく、手間暇をかけて作られます。
優れたブルゴーニュワイン生産者
過去にかなりの量のブルゴーニュワインを飲んだので、全て覚えきれていないのですが、中でも優れた生産者をピックアップしてみます。
中途半端に飲んでいるので、本格的なブルゴーニュワイン愛好家からは笑われてしまうかもしれません。もし読者さまの中に、ブルゴーニュ愛好家を自称する方がおりましたら、コメント欄やDMより、正しい評価をお教えください。
非常に高価で希少、手に入らない
ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ
メゾン・ルロワ
アンリ・ジャイエ
ジャン・グロ
リジェ・ベレール
アルマン・ルソー
ジャイエの弟子、後継者など
エマニュエル・ルジェ
ドメーヌ・ペロ・ミノ
メオ・カミュゼ
フィリップ・パカレ
フィリップ・シャルロパン・パリゾ
フーリエ
評価の高い生産者
ジョルジュ・ルーミエ
ジャック・フレデリック・ミュニエ
プリューレ・ロック
ジャン・グリヴォ
アンヌ・グロ
ルフレーヴ
ラモネ
コント・ラフォン
コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ
ダヴィド・デュバン
ジャン・フランソワ・コシュ・デュリ
ラルロ
ポンソ
アルベール・グリヴォ
ヴァンサン・ルグー
他にも様々な優れた生産者が存在します。
「非常に高価で希少、手に入らない」は100万円近い価格であったり、物理的に入手ができない銘柄ばかりです。
「ジャイエの弟子、後継者など」このあたりは、狙い目で村名ワインであれば3~5万円程度で購入できることもあります。かなり狙い目なブルゴーニュです。
中でも、「エマニュエル・ルジェ」、「メオ・カミュゼ」、「シャルロパン」は現代の生きるジャイエのような扱いで、取引価格が右肩上がりです。ルジェは偽物も出ているので、クロパラントゥなど警戒した方が良いです。
個人的に注目しているのは、「プリューレ・ロック(赤)」「ドメーヌ・ルフレーヴ(白)」「ラモネ(白)」「コント・ラフォン(白)」「ヴォギュエ(白)」このあたりは、近年になって急激に流通量が減り、値段が上昇しています。
暴論をいうと、上記の5つの生産者は、状態が良い新品であれば基本的にどれを買っても上がると思っています。
何を言っているのか1mmも理解できない方
もし、この記事をお読みで「全くブルゴーニュを飲んだことがない」「飲んでみたいけれど、さっぱり分からない」方がいましたら、次のようなワインはお勧めです。
ドメーヌ・ダヴィド・デュバン
ブルゴーニュ・ルージュ 3,000円前後
ダヴィド・デュバンは近年人気が高くなってきた生産者ですが、手頃なのに美味しく流通量が減っています。広域ブルゴーニュで3,000円なので今のうちに1本買って経験するのをお勧めします。
ドメーヌ・ルフレーヴ
エ アソシエ オーセイ デュレス ブラン 8,000円前後
昨年まで、マコンが3,000円でしたが、急激に上昇して手に入りません。
このオーセイ デュレスは、契約農家のもの(=エ アソシエ)ですが、栽培指導もされて醸造技術の高さを実感できるはずです。
少し冷やして一度は飲んで欲しい一本です。
アンヌ フランソワーズ グロ
ブルゴーニュ ピノ ノワール 4,500円
ジャン・グロの系譜で唯一まともなのが、アンヌ・グロとアンヌ・フランソワ・グロです。女性の横顔が描いてあるで覚えるとよいです。
1本10万円するリシュブールと、同じように丁寧に作った広域ブルゴーニュです。
現在は5千円を切って購入できます。少し前まで、ジュブレ・シャンベルタンやヴォーヌ・ロマネも1万円を切っていましたが、どんどん流通量が減っています。
もしブルゴーニュを始めるなら、このあたりは一度経験すると良いです。常温より少しだけ冷やして飲むとベリーの果実と香りを楽しめます。
ブルゴーニュ初心者には
もし未経験であれば、上記の3本を飲んでみると、「本格的なブルゴーニュ」に触れることができます。
スーパーや輸入食品店に並んでいるようなインチキなブルゴーニュと違い、上記の生産者は愛好家に見せても恥ずかしくない銘柄です。
なんとなくウイスキー投資をするのであれば、「流行りの情報」を収集していれば十分かもしれません。
ただ、もし本当に本格的にウイスキー投資をするのであれば、ワインの経験値も積んで樽の特性や味わいの違いを知る。それだけでなく樽熟成で用いられるスペインのシェリーや、シェリーブランデーも修行することで、自身の経験値を上げることができます。
私自身も修行中の身ですが、「グラスに入っている液体の真価」を判断できるようになれば、人気が出るまえに先回りして投資できます。最初に話したエシェゾーの例もそうですが、ウイスキー投資も「中に入った液体の価値」を自分で判断でき、役にたつはずです。
免責事項
当サイトの内容は個人的な推測に基づくもので、内容の完全性や、その正確性を保証するものではありません。ウイスキー投資は法律上の制約や損失が発生する場合があります。必ず自己責任おいて入手・売却等をお願いします。利益が出た場合は、確定申告など税務上の申告が必要になる場合もあります、税理士や税務署職員に相談ください。大量の酒類を個人売買する際には、酒税法上の免許や認可が必要になります。