最近ずっと投資や相場・チャートの話でしたので、たまにはバーの話をしてみたいと思います。初心者向けの内容となりますので、慣れている方には少しつまらないかもしれません。
なぜ日本にはバーがあるのか
日本のバーというのは世界でも稀にみる多様性のある文化です。
詳しくは書店の専門書など読んで頂きたいのですが、海外には日本のようなバーが少ないです。
日本にあるような「シングルモルトバー」どころか「オーセンティックバー」さえ、ほとんど存在しません。
ビールやハギス、フィッシュ&チップスを出すような、ブリティッシュパブ(居酒屋)にウイスキーやジンが並んでいて好きなものを飲む感じです。
そもそも英国には、日本のような外食を頻繁に楽しむ文化が少ないです。ロンドン中心地でも観光客向けの飲食店が中心で、現地の住んでいる人が行くレストランはそれほど多くありません。
主要都市のレストランランキングでは、東京のレストランは14万8582店ですがロンドンは、たったの1万8110店しか存在しません。
それだけでなく、もともと階級社会であった英国では、移民が食べるような大衆店やアジア料理店・チェーン店と、1人100ポンドを超えるようなコース料理が出る高級店の二極化されています。「ロンドン料理おすすめ」など検索すると、日本人観光客の旅行者のブログがたくさん出てきますが、だいたいがファーストフードのような安い大衆店ばかりです。
日本では外食に明確な階級が少なく、お金持ちでも貧乏でもラーメン屋さんには行きますし、吉野家もマクドナルドも行きます。
この食文化の違いがオーセンティックバーの有無に影響しています。
パブでは軽食を楽しみながら、生のギネスビールやロンドンプライドなんかを飲み、食後にウイスキーや蒸留酒を飲む人もいます。
一方でドレスコードのある、純銀メッキのカトラリーと飾り皿(アクセントプレート)の出るような高級店では、シャンパーニュから始まりクラレットを楽しみ、食後にテーブルを移動して蒸留酒を楽しみます。
ホテルなんかには、メインバーがあるので、そこで葉巻と共に強いお酒を嗜むこともあります。
大衆店の場合でも、高級店の場合でも基本的に食前酒から食後酒まで一貫して楽しむ風潮があります。日本の”2件目や3件目ハシゴ”文化がありません。
このためオーセンティックバーが、ほとんど存在しません。これはフランスでもイギリスでも同様です。
2020年以前の日本では、500円均一の立ち飲みバーで生ビールを飲んでから、魚の美味しい居酒屋に行き、その後にオーセンティックバー、そして〆のラーメン。このように食前酒から食後酒までバラバラです。
読者の方でも、一日に何件も回った事がある人もいるのではないでしょうか。
日本独自のバーの文化
このような理由から、スコッチの本場である英国にはバーが無く、日本には”おもてなし”をするオーセンティックバーがあるのです。
一人で訪れたり、友人と歓談に利用したり、仕事先の人と、はたまたデートや水商売の女性をくどくために訪れたり、多種多様に利用されます。
厳密に分別するのは難しいですが、「オーセンティックバー」「ラウンジバー」「モルトバー」「ワインバー」「シガーバー」「ジャズバー」「スポーツバー」「ショットバー」「ガールズバー」「コンセプトバー」などがあります。
バーの種類は?
オーセンティックバーの定義は存在しないようですので、適当なイメージで書いてしまうと、「家具や調度品にこだわりがある」「生のフルーツを用いた季節のカクテルがある」「心地よいBGM」などお酒と空間を演出したゆったり過ごせる空間になっています。
長時間滞在できるように快適な椅子が用意されることがほとんどです。おしぼりが出てくることが一般的です。場合によっては香油などで、ほんのり良い香りがするおしぼりが出てきます。
オーセンティックバー
高級ホテルでは「メインバー」と呼ばれることがあり、政治家がボトルキープを入れて密談することもあります。ボックス席や、個室を用意する店もあります。
カクテルのコンクール入賞者がいるなど、高い技術を持つバーテンダーがいることが多いです。シャンパーニュやワインのグラス売りから、季節のカクテルまで様々なお酒を楽しめます。ちょっとした料理やおつまみが美味しいところも多いです。
できればドレスコードを考えた方が良いのと、大きな声で騒がない、カウンターに物を置かないなど気をつけた方が良いです。
ラウンジ(ホテル)
ラウンジ(ホテル)は、ホテルの景色の良い高層階などに位置してカジュアルに楽しめる空間です。ピアノの生演奏や、良いホテルではジャズの生演奏があります。宿泊者が中心ですが、食事をしながら夜景を見てデートするなど、便利なバーです。数年前のゼックスなんかでは、単価数十万円のグランヴァンをバンバン開けて振る舞っている中国人も居たようで、羽振りの良い人も来ます。
モルトバー
モルトバーは名前の通り、ウイスキーを中心としたバーです。まれにバーボンを中心とした店や、アブサン、ジンを中心とした店も存在します。
共通しているのは専門性が高く愛好家が溜まっていることです。美味しいウイスキーを飲むには一番最適な選択です。
良心的なお店もあり、手頃な価格で古酒や貴重な蒸留酒を飲ませてくれます。この手の店に共通しているのは、カクテルを作らないことです。
たまに「生ビール!」とか「ジントニック!」と注文する一見さんが来ますが、大抵の場合申し訳なさそうに「当店では……」と小声で伝えています。
ワインバー
名前の通りワインバーです。ややこしいのが、料理とワインを出すインチキな安いチェーン店から、RMシャンパンを常時10種類以上もグラス売りしているような、ゴリゴリの本格シャンパーニュバー、白ワインをグラスで頼むとコシュ・デュリやコント・ラフォン、ルフレーヴが出てくるような高級店まであります。
その他のバー
残りはご存知だと思うので、簡単に説明します。ジャズバーは、古いレコードをJBLのフロアスピーカーで流す店と、煙草の煙がモクモクの中、同人の演奏家が集まって演奏する2種類あります。
シガーバーは2種類あって比較的カジュアルに葉巻とタバコを吸える店でワインが出てくるような場所があります。もう一つは葉巻を預けられるような本格的な店です。後者はゴリゴリの高級ウイスキーがあったりします。
スポーツバーは、サッカーの中継などを大きなテレビで見ながらみんなで応援するバーです。種類は違いますが、ダーツバーなんかもあります。
名古屋にはエアガンを撃ちながら酒を飲むバーもあるようです。
ショットバーは、たいてい500円など安い価格が多く、ドリンクを受け取るときにお金を渡します。キャッシュオンスタイルともいいます。
立ち飲みや、簡素な椅子で、店の外席で飲ませることもあります。愉快な店が多く、道路に隣接していると、路上で飲んでいたりします。軽食やコーヒーがある店もあります。
さらにその他のバー
忘れていましたが、「会員制のバー」「準会員制バー」「どうやって辿り着くのか分からないバー」もあります。
会員制は暗証番号を入れたり、カードキーを使ったり、指紋認証をさせる店がありますが、シンプルに入ると「どちら様でしょうか?」と会員以外を追い払う店まであります。
準会員制バーは、入ってドリンクを飲ませてくれますが、執拗に「どなたかの紹介でしょうか?」と聞いてきて帰らせる雰囲気を出している店です。
運営母体がやばい店や、本当にやばい店もあるので、気をつけると良いです。特に雑居ビルの2階以上に入っている窓やメニューのない店は一見は入れないことあります。
どうやって辿り着くのか分からないバーは、雑居ビルの3階以上に入っていて、カラオケとかあったりしますが、一見さんウェルカム歓迎で優しい常連さんが迎えてくれます。
他にも駄菓子バー、ハッカーバー、暗号通貨バーなどもあるそうですが、よく分かりません。
バーの楽しみ方
このように、バーにも種類があり、得意不得意があります。
純粋なデートであれば、ホテルの景色の良いラウンジが良いですし、大切な時間をゆっくり過ごしたいのであればオーセンティックバー。
ウイスキーがゴリゴリの飲みたければモルトバーなんかを利用すると良いですね。
帝国ホテルやオークラ、ニューオータニなど御三家のオーセンティックバーはドレスコードをしっかりしたほうが恥をかきません。
ラウンジはややカジュアルでシャツでもOKですが、メインバーはジャケットと革靴は欲しいですね。
他のバーは、ドレスコードは基本的に無いと思います。六本木の単価5万円のバーでも、短パンとビーチサンダルに、数千万円しそうなAPやバシュロン、リシャールを付けてくるお客さんもいます。
大抵、「昨日、新車の991GT3でゴルフに行ったんだけどさ〜」と話が始まります。
初心者の場合は
会員制以外はどの店でも基本的には歓迎してもらえるはずです。
オーセンティックバーに行くときは、ドレスコードをしっかりすると良いです。
「あまり慣れていないのですが、お勧めのお酒をお願いします」といえば、良いものを見繕ってくれるはずです。
共通してるのは、隣の席の人に絡みすぎるのは良くないということと、綺麗な女性が一人で飲んでいても声を掛けてはいけないということです。
あとは、バーテンダーの方が忙しいときは、喋り続けないことと、注文や会計のタイミングを忙しくなさそうなタイミングを狙うのが良いです。
大抵のオーセンティックバーの場合は、季節のフレッシュカクテルまたはシャンパン、または生ビール。これらを初めの一杯で頼み、次にワインまたはウイスキーに移るのが王道です。
最初からウイスキーでも良いですが、こなれた感じでスマートに行くのであれば一杯軽く挟むといいですね。
何杯飲んでも良いですが、2杯から5杯程度で締める方が多いのではないでしょうか。あまり泥水しすぎず、まっすぐ歩ける程度で帰るのが大切ですね。
もう一つ大切なのは、30代以降であれば帰りにラーメン屋に吸い込まれないことです。その場の快楽を優先すると翌朝の胃が大変なことになります。
というわけで、日本の多種多様なバーを楽しんでみてください。