SNSを眺めていると「歩いて稼ごう!」と不思議なキャッチフレーズを見かけ、ついつい本文を読んでしまいました。
(※雑談が長いので、興味がなければ途中まで飛ばしてください……。)
「歩いて稼ごう!」は、UberEATSのように宅配デリバリーで稼ぐのではなく、もっと新しい概念「Move to Earn = 動いて稼ぐ」というものです。
概要を読んでみたのですが、一言で表せばPokémon GOにNFTトークを連動されたものだと感じました。主流になっているSTEPN(ステップン)というアプリは、「デジタルスニーカー」を初期費用の仮想通貨(現在10万円相当)で購入して、靴の特性に合わせたペースで距離を歩いたり、要所通過したりすることで、仮想通貨を稼げるというものです。
ゲーム内のガチャを引いて希少な靴を当てたり、ASICS(アシックス)など実在するメーカーともコラボして勢いがあるようです。
『儲かる主体』のサービスは危険?
私はこのMove to Earnに対して、猜疑的な目で見ています。それはサービス参加者の大半が「儲かりたい」動機が主体になっているためです。
類似したデジタルビジネスにRMTが存在します。RMT=リアルマネートレーディングとは、主にMMORPGなどオンラインゲーム内での独自通貨を、現実通貨と換金するサービスです。アカウントやアイテムを売買することもあります。運営会社によって禁止されていることも多いですが、Move to Earnよりマシだと思っています。
理由は原資と目的です。先ほどのMove to Earn系アプリは、原資が参加者の出資金です。運営が自由にルール変更できる、中抜き・手数料ありのポーカーとほぼ同じです。参加者が増え続ければ、先行者は儲かるかもしれませんが、暴落のリスクも高いです。
対してMMORPGのRMTは、「ゲームを楽しみたい!」の目的が先行しています。「強いアカウントやレアアイテムが欲しい」という目的を、短絡的に現実のお金で解決しようとしています。参加者の大半が”儲かる”ではなく”遊ぶ”に主眼を置いていることがMove to Earnより低リスクだと思います。
低リスクとはいってもサービスの改変や終了、運営のBANなど第三者の影響は避けられません。
ウイスキーは仮想通貨より低リスク?
ウイスキーも同じで、希少な昔のボトルを「飲みたい」「集めたい」といった動機があります。今でこそ「儲かりたい」と国産ウイスキーを集めている人もいますが、前者の動機が大きい限り暴落のリスクが低くなります。
何しろ、儲からなくても栓を空けて美味しく飲むことができるからです。食べられる米と同じように、その物自体が価値を保証しています。
私自身ガチガチの古典主義者ですので、NFTアートなどの価値を信じていませんし、長い時間と手間暇をかけて作り出された酒や、精緻な作品や美術品こそが価値があると思っています。
売却できないのであれば、100億円のNFTアートよりも、カラヴァッジョの古い油絵の方が欲しいです。
思いの他、雑談が長くなってしまいすみません。本題に入ります。
『チャート』からボトルの価値を読み解く
株売買は、食べることも飲むこともできませんが、チャート分析としては「下値支持線(サポートライン)」と「上値抵抗線(レジスタンスライン)」の概念が役に立ちます。
下値支持線は、「この値段ならいくらでも欲しい」上値抵抗線は「いや、さすがにこの値段はない」という意味です。需給の関係で、サポートラインもレジスタンスラインも変化します。
このキレイな右肩上がりのチャートは何だと思いますか?
実は良く見ると分かります。左の始値が2,000円程度で、そこから2万円まで上がっています。国産ウイスキー10年や12年などの普及ボトルにありがちなチャートです。
正解は、「竹鶴12年 角ボトル 750ml」です。2010年頃には1,980円で全国の小さなスーパーにも置いてあったボトルですが、多くの人に飲まれることで流通量が減って、昨年は25,000円近い価格で売買されていました。
そこから反落、少し勢いが落ち着きましたが15,000円がサポートラインになり、再び上昇の兆しをみせています。
このチャートを見て分かることは、入札者の心理はしばらく10,000円が心理的な支持線でしたが、上方に抜けてしまい15,000円まで出せる層が支えていることです。
どちらのウイスキーの値段が上がる?
取引期間は違いますが、上記のチャートAとB、どちらが欲しいですか?
どちらも、チャートが底堅いと見ています。
ボトルAは順調に地固めしつつ伸び、昨年6月に急騰して少し反落しています。30,000円がサポートラインに見えます。
ボトルBは2017年からダラダラと下がり続けていましたが2019年冬に下げ止まりし反発、2017年の高値更新をして伸びています。30,000~35,000円がサポートラインになっています。
ボトルA = サントリー ミレニアム 2000
ボトルB = グレンフィディック 21年 ウェッジウッド 陶器ボトル
チャートは上記2銘柄を指しています。
ミレニアムは1999年リリースですが、グレンフィディックは1980年代後半のリリースです。このようにかなり昔のボトルでも、トレンドが存在することが分かります。
どちらも良いボトルですが、現状ではミレニアムの方が伸びるのでは?と思っています。
ちなみに、「グレンフィディック 21年 ウェッジウッド 陶器ボトル」はWhiskyBaseでは最低価格が85,000円ですので、国内は半額近く安いです。陶器がウェッジウッドですので、百貨店の外商中心に贈答品としてかなりが出回ったのだと推測できます。
新しい限定ボトルにも応用できる
オールドボトルしか利用できない訳ではありません。
新しいリリースでも、過去の相場を分析することで分かることがあります。
嘉之助蒸溜所 シングルモルトウイスキー 嘉之助 Artist Edition #001
数量限定 希望小売価格:14,850円(税込)
こちらのボトルのチャートです。リリース直後が最も高く50,000円で落札されています。その後、30,000円がサポートライン?と思っていると、転売の売り圧力でどんどん下落。昨月には21,000円で底打ちします。
おそらく21,000~25,000円のボックス相場に移ると予想できます。
まだ下落する可能性もありますが、定価が14,850円のため下げ幅は限られています。仕込むのであれば、現在の21,000円前後は良いかもしれませんね。
私は国産ウイスキーを集めていないので関係ないですが、集めている方は焦らず底打ちを見極めてから買い付けるのをお勧めします。
逆に、読者の方で転売をされている方がいれば、「発売同時に売却」が最高値で売れることが分かります。「嘉之助 Artist Edition #002」がリリースされたとしたら、32,000~37,000円程度で即決設定をして逃げ切るのが良さそうです。
ちなみにシリーズ物の2回目の下落は早いです。転売屋の方も知識があるので、「前回売れずに下がったから、今回は安くしても早く売り切ってしまおう」といった心理が働きます。
私自身、嘉之助蒸溜所を一度も飲んだことがありませんが、「嘉之助 Artist Edition #001」はダラダラとボックス相場が続き、#003〜#004がリリースされることに、思い出したように上昇するのではないでしょうか?
シリーズものを集めている人の「そろそろ、#001買っておこう」で上昇トレンドに向かうこともあります。
ウイスキー相場は本当に面白いですね!
今日もお読み頂きありがとうございました。
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