世界で最も有名なブレンデッドウイスキーといっても過言ではない『バランタイン』、日本でもジョニーウォーカーに次いで人気の高いボトルです。
ウイスキーブームが訪れる遥か前から輸入されていて、昭和末期には都内で明治屋が販売していたようです。
1950年代のバランタインも国内で流通していますが、主に1980~1990年代の青黄色旗が大量に現存しています。御歳暮や御中元をはじめ、お祝いの品として人気があったようです。
『バランタイン30年』、3,000件の取引事例を分析してみました。ビックデータになってしまうため下限を10,000円、上限を36,000円で抽出しました。時々跳ねているのが、赤青旗などの古い時代のボトルになります。
ここまで取引量があると、トレンドラインをみれば全体的な相場が理解できます。
もともと国内でのブレンデッドウイスキーの相場は、海外よりも断然安い価格でした。なぜなら、「飲みたいから買う」というよりも「もらって家にある」という人が多かったためです。
日本では高級洋酒を貰って、飲まずに飾る文化もあったので平成に入ってからオークション上の「売り圧力」として相場を下げてきました。
ウイスキー好きからすれば、美味しいブレンデッドウイスキーが定価よりはるかに安い手頃な価格で飲めて良いというメリットがありました。
今後はブレンデッドウイスキーも上昇する?
私がバランタインを収集していた2019年頃は、そこまで値上がりを実感しませんでした。定価8万円のバランタイン30年でさえ、2万円あればお釣りが戻ってきました。
ところが2022年5月現在では、2万円で落札できるのは箱なしで状態が少し悪いようなものばかりで、箱ありや美品は2万円代前半で終了しています。
ときおり2万5千円をマークすることもあります。
国内のスタグフレーションで、食料品から飲料まで様々なものが値上がりしていますが、ついには流通量が豊富なバランタイン30年にまえ影響を与えています。
バランタイン30年は、とても良いウイスキーですが昔から大量に流通しているので、中国人爆買いの影響も無く、偽物も聞いたことがありません。
空港の免税店で売られているようなボトルです。
ブレンデッドウイスキーを買う価値がある?
あまり話したくないのですが私自身、ブレンデッドウイスキーを自家消費用として買い集めています。
何しろ近年の新興蒸留所の国産ウイスキーより、よほど美味しいのです。当たり前ですが、丁寧に手作りで作られていた1960年~1970年の原酒が「ブレンデッドウイスキー」というだけで、これほど安く売買されているのです。
例えば、1980年頃の「バランタイン30年」であれば使用されている原酒は1950年以前のものになります。第二次世界大戦から、それほど経っていない時代の原酒が現在も飲むことができるのです。
かたやシングルモルトウイスキーは、「タリスカー7年」のボトラーズが2万円弱、国産ウイスキーであれば3年熟成が5万円以上する時代です。
短期熟成でも美味しいウイスキーは数多くありますが、古酒のバランタインやジョニーウォーカー、シーバスリーガルなどを器用に選べば、3~4千円で昔の良い時代のウイスキーが気軽に楽しめます。
ブレンデッドウイスキーに投資する価値があるのか?
投資目的とすると、近年の国産ウイスキーやシングルモルトウイスキーと比較すると伸び率は悪く、緩やかです。それでも、中古市場で入手した場合は人気が落ちることが少なく、手堅い投資となります。
流行りのウイスキーのように、「来月には200%!」など極端な利益を追求せずに、「年利5~10%程度の含み益が出たら良いなあ」といった具合の穏やかな投資には向いています。その代わり、利益を実感できる売却には5~10年ほどは必要になりそうです。今後どのような比率で上昇するかは未知ですが、オールドボトルは増産不可能ですので下がることはないと思います。
希少なブレンデッドウイスキーとは
年数表示が無いにもかかわらず、高額売買される希少なブレンデッドウイスキーも存在します。
一例では、BB&Rの「ブルーハンガー」「ベリーズベスト」「セントジェームス」、デュワーズ「ホワイトラベル」「ピュアモルト」など。
「デュワーズ ネプラス ウルトラ」なんかは10万円以上での落札もあります。
これらのような、特級時代の古いボトルは年数表示が無くても高値で売買されることもあります。
上記ボトルの時代は様々ですが、1970~1980年代流通のブレンデッドウイスキーであれば原酒が1950~1960年代が中心にになります。
今流行りの「シングルモルト」としてラベリングされていたら、1960年代ということで20~40万円の価値があるのに、いくつかのブレンドされたウイスキーのため常識的な価格に収まっているという見かたもできます。
例えばセントジェームスは、グレンロセス蒸留所が中心となって当時BB&Rが保有していた樽をブレンドしたと言われています。一つの蒸留所だけでなく、バランスの良い味と香りを立たせたもので、左の旧マッカラン12年に劣らない味わいです。むしろセントジェームスの方が美味しいと思えるほどです。
マッカランの旧12年は8~10万円、一方のセントジェームスは1万円以下で購入できます。投資目的となってしまったマッカランは、味わい以外にも投機的な価値付けがされていますが、知名度が高いとはいえないセントジェームスは愛好家による値段付けしかないので手頃というわけです。
投資目的としては、やや弱いブレンデッドウイスキーですが、実際に飲んで楽しむという主目的からすれば、非常に良い選択といえます。
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