珍しいボトルが落札されていたので、紹介してみます。
国内未入荷の”Macallan The Harmony Collection / Rich Cacao”というコレクションです。
“ハーモニーコレクション” リッチカカオとは何か?
一応、常日頃からマッカランは監視していたつもりだったのですが、昨夜初めて存在を知りました。マッカランは矢継ぎ早に様々なボトルをリリースしていますよね。
この”ハーモニーコレクション” リッチカカオは、ミシュラン3つ星レストラン「エル・セラー・デ・カン・ロカ」の有名パティシエ、ジョルディ・ロカ氏とのコラボレーションによって実現した、ウイスキー×チョコレートを表現するボトルのようです。
いや、チョコレートって言ったら普通はブランデーでしょ。と心無い言葉をぶつけてしまいそうでしたが、マッカランが合うといえば合うのでしょう。「サステナブルパッケージング」と共に、チョコレートとの融合を目指しているようで、”リッチカカオウイスキーペアリング”の限定パッケージも発売されていたようです。
“ハーモニーコレクション” リッチカカオの相場
昨年2021年9月にアメリカ市場を対象にして発売したようですが、当初の価格はオフィシャルストアや正規販売店で115ポンド(約19,244円)でした。
今朝の落札価格では、70,980円と昨年の3倍以上のプレミア価格がついています。
国内オークションにほとんど出ない商品でしたが、昨年から8件の落札が見つかりました。チャートというよりは、ほぼグラフの羅列ですが以下のようになります。
最安値は45,502円、高値は69,000円、今回は約2千円高値更新したことになります。
WhiskyBaseを見ると、最安値は330ポンド(約55,225円)の個人売買、平均価格は、760.3ユーロ(約108,198円)です。
ついでに、タイミングよく一昨日のWhisky Auctioneerでも落札がありました。
落札価格は431ポンド(約72,148円)です。日本に持ってくると、手数料入れて81,527円+送料8,366円の約9万円になります。これを見ると、日本での出品価格はやや安いことが分かります。今年3月に4万円台で入手した方はお得だったことになります。
この手のマニアックなマッカランは、愛好家が飲むために買われることもありますが、都内の高級バーなどで「こんな珍しいボトルが入荷しました」と演出のために買われることがあります。現状では、輸出というよりは内需で消費されていそうです。
マッカラン限定ボトルの今後は
複数のサイトを確認したのですが、生産本数が見当たりませんでした。今後どのような相場を形成するかは分かりませんが、海外相場でキレイに足並みを揃えているので、6~7万円が一旦の底値として固まりそうです。
今回のケースで思ったことは、「年数表記なし」「生産本数の公開なし」のボトルが平然と半年で300%超えるということです。マッカランのブランディングによるものなのか、今後この上昇がスタンダードになるのか見極めが難しいです。
ただ空港の免税店などで、マッカランの新ボトルを見かけたら、「とりあえず買っておく」は有効な方法かもしれません。
今までの「ウイスキー高騰のメカニズム」は主に”味わい”と”希少性”によるものでした。美味しい時代や蒸留所の、少ない生産量、流通量、現存量が価格に反映されていました。
ところが最近では、マッカランは「美術品」としての価値を確立しようと見受けます。仏ガラス工房のLALIQUE(ラリック)に入れた希少ボトル、ポップアーティストのピーター・ブレイク卿、写真家や音楽家など様々な有名人や企業を起用しています。高級車メーカーではマッカランが「ベントレー」、ボウモアが「アストンマーチン」の限定ボトルをリリースするなど多岐に渡ります。
過去の蒸留所ボトルと比較すると、100万円から500万円以上と付加価値による大胆な値付けになっています。
高級ブランデーや高級ワインがなし得なかった領域を、ウイスキーが確立できるか投資の面からも注目していきたいところです。
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