株式投資には「人気銘柄」や「成長銘柄」などあり、バリュー株やグロース株、はたまた本当に利益が出るのかさえ怪しい新興バイオ株やAIテクノロジー株まで存在します。
無理に当てはめることは難しいのですが、一例では「マッカラン」は最も知名度の高いシングルモルトウイスキーの一つで、ブーム初期からプレミアが付いて売買されることのある人気蒸留所です。
山崎蒸溜所なんかは2015年頃からの国産ウイスキーのブーム、コンクール受賞やインバウンドなど様々な要因で2022年現在まで右肩上がりの上昇を続けています。
スプリングバンク蒸留所なんかは、ずっと昔から存在していた蒸留所ですが、つい2~3年までまではマニア以外は買うことのないニッチな銘柄でした。それが中国人投資家などによって脚光を浴びて品薄と高騰が続いています。
自信を持って買うのは難しい?
こちらのスクリーンショットをご覧ください。
出典元は、武川蒸留酒販様の2017年夏頃の在庫です。定期的にスクリーンショットをしているのですが、当時のスプリングバンク10年は5千円弱、カスクストレングスでも9千円、18年が1万3千円です。
スプリングバンク21年も3万2千円あれば、お釣りが返ってくるほどでした。
高騰していなかったので、文字通り「誰も興味がない」ような状態でした。一部のウイスキーマニアやバー関係者がコツコツ買っている程度で、全然品薄でも何でもありませんでした。
同時期のアランモルトなんかも在庫豊富で、欠品はほとんどありません。2017年には山崎や白州は、既に在庫が少なく抽選が行われていましたが、影では脚光を浴びていないウイスキーが眠っていた訳です。
コロナ以降に景気低迷と物価上昇で、スタグフレーションに陥っている日本経済ですが、「今当たり前に売られているボトル」が3~4年後には、プレミアで高すぎて絶対に手に入らない蒸留所になっている可能性も十分にあります。
ただ問題はそれが、どこの蒸留所で、何を買えばいいのかがハッキリとは分からない状態です。
これは私自身の意見ですが、「国内新興蒸留所」は正直言ってあまり信用していない部分があります。新興バイオ株やAIテクノロジー株のように、物珍しさや今後に期待をして高い価格を出すのは良いのですが、「今美味しいか?」と聞かれると怪しい蒸留所が大半だと思っています。
英国の蒸留所であれば、高騰のメカニズムにある程度の法則性があります。1つ目は、「大量生産をしていない蒸留所」2つ目は、「ウイスキーマニアや業界関係者が美味しいと推している蒸留所」です。
例えば大量生産をしているブレンデッドウイスキーの、ジョニーウォーカーやシーバスリーガル、バランタインは高価格帯の商品でも、四半世紀以上前のボトルでも当時の定価を割っていることがザラにあります。
シングルモルトウイスキーでも、「グレンフィディック」は目も当てられないほど安値で売買されています。少し前までは、「グレンリベット」や「グレンモーレンジ」などお土産御用達ブランドは、総じて格安で売買されていました。
シングルモルトブームが長期化しているので、さすがに1~2年前から上昇傾向にありますが、大量生産をしている蒸留所は上昇しにくいのは確かです。
その点では、「スプリングバンク」は、1960年代の原酒がカルト的な人気を誇るという素地があり、そこにきて現在でも生産量が少ないために、ここまで急激なブームが来たと予想できます。
ただし、2018年頃からは中国人投資家の投機筋の資金が流入していることは確かです。大陸系SNSを監視していると上記のように、数十本どころか数百本を買い占めるような収集をしているケースも見受けます。
先日Twitterで紹介したように、1本50万円近い『マッカラン 25年』を約50本、2500万円相当を所有している投稿者まで発見しました。
彼らが個人なのか法人なのか、それともグループなのか明確な素性までは分かりませんが、今後価値が上がりそうなウイスキーを見つけては大量購入をしています。先日は大量のウイスキーを「新型ベントレー・コンチネンタルGT」を並べている動画を発見しました。
新型コンチネンタルGTは日本国内でも3,000万円、中国では関税の関係から6,000万円近い価格帯です。関税で25%、付加価値税で17%、約2200万円以上は10%の贅沢税など加算されます。このような超富裕層が「ウイスキー投資」を本格的に(または遊びで)行っているのだと思います。
ウイスキーは売却が、ワンタッチでは行うことができる複雑です。売り買いを何十回もするようなものではないので、「大量に一度に買って、値段が上がったら売る」というシンプルな取引が基本になります。
そのため、ショート(売り)から入ることができずに、株式投資や仮想通貨と比べるとシンプルな動きになります。
積極的に利益を狙うのであれば、王道の手法ですが「人気が出てきた銘柄」に便乗するのが一番手っ取り早いかもしれません。スプリングバンクであれば、在庫が減ってきて価格がプレミア付いてきた段階で、一気に買い集めてしまうというパターンです。
ウイスキー投資を初めたばかりだと、1万円のボトルが一売り切れて1万2千円になると「うわ!値上がりしてる高すぎて買えない」と思うこともあるはずです。
それが小規模生産の蒸留所だと、1年後には2万円、2年後には3万円なんて事が往々にして存在します。例えば、2020年に書いた記事で「アランモルトを集めたほうがいい!」と推奨しました。
アラン18年は、この記事を書いてから数ヶ月で9千円になりました。
年末には1万3千円になってSNSでは「8千円で買えたのに高すぎる!」と大騒ぎされました、
現在では2万円後半での落札も増加しています。結局、9千円で買っても1万3千円で買っても2倍近い上昇を狙えています。このまま、5~10年保管すれば更に上る可能性もあります。
このように、株式投資と同じように長いスパンで保有するのであれば、少し高いところで購入しても結果的にタイミングが良かったということもあります。
それでも、100%安心な銘柄などは無く先日の「IWハーパー12年騒動」のように一瞬の高騰したタイミングで高値掴みする事もありえるので、慎重に分析して自己責任で挑戦してみてください。
免責事項
当サイトの内容は個人的な推測に基づくもので、内容の完全性や、その正確性を保証するものではありません。ウイスキー投資は法律上の制約や損失が発生する場合があります。必ず自己責任おいて入手・売却等をお願いします。利益が出た場合は、確定申告など税務上の申告が必要になる場合もあります、税理士や税務署職員に相談ください。大量の酒類を個人売買する際には、酒税法上の免許や認可が必要になります。